アルコール依存症:中島らもさんを辿る | 魔法石の庭3rd

アルコール依存症:中島らもさんを辿る

 さて、アルコール依存症について、もうちょっとお付き合いいただきたいと思います。
 というのも、前回の記事や、その前の「アルコールとの付き合い方」の記事が思いがけずにランキングに入り、皆、何らかの不安は抱えているようなので、できるだけわかりやすく書いてみたいと思いますよ。

 まず、アル中には、様々な要因が重なっていることはもうおわかりですね?
 精神疾患では、社会不安障害、鬱、強迫性障害などです。
 強迫性障害は、自分の中に「不幸になるジンクス」を決めて、それにこだわり続けます。なので、「酒を飲まないと運が悪い気がする」と一旦思い込むと、ずっとお酒を飲んでしまう……ということになります。
 これらの精神病は、アル中の症状ととても仲良しです。なので、精神障害のある人は、アルコール中毒になる危険性も高まります。

 アルコール中毒患者の別の例として、中島らもさんを挙げてみましょう。
 中島さんは、酒の他にもドラッグなどもやっていましたが、「今夜、すべてのバーで」という、自らのアルコール依存症を病院で治療する私小説を書いています。
 それによると、アルコール外来に受付を済ませ、公園で時間を潰しているうちに、ふと酒の自販機を目にして、「おいおい、最後の一杯を飲ませてくれるっていうのか?」と酒を買って、飲んでしまいます。
 しかし、中島さんは「一度は憎いと思った悪女だが、まあ、良い夢を見せてくれた天女に感じる」と言って、酒を口にしました。

 病院での生活は、淡々と過ぎていきますが、中島さんはどこか他人事のように「禁断症状が来たな」とか「隣の患者は~」とか書いているのです。
 前の、鴨志田穣さんの著書では、どこか情感が感じられるのですが、中島さんの文章は、一応小説という形を取ってはいるものの、とてもドライにことが進んで行きます。

 しかし、物語のシメ。
 亡き親友の妹と、病院を退院してすぐに、小島(主人公)は、「バーに寄りたい」と言います。
「小島さん……」と不安げな妹を背に、小島はカウンターに座り、「ミルクを」と頼み、妹はやっとニコッと笑って「あたしも」と注文をします。
 そして、その妹に甘い口説き言葉をかけた瞬間、スツールを妹の足で思いっきり蹴られ、落ちていきながら小島は「スコール(乾杯)」と、ミルクを高々と掲げる……ところで物語は幕を閉じます。

 一応、ハッピーエンドなのでしょうけど、院内でも飲酒(まあ、これは医者の方から誘ったのですが)していて、本当に治ったのかのかは疑問です。

 まあ、中島さん自身も、最後は泥酔状態の中で、バーの階段から落ちて亡くなっているのですが。皮肉にも、小説の主人公のように、何かから落下して人生の幕を閉じたわけです。
 鴨志田さんが酒を止めることに成功したのに対して、中島さんは生涯酒を止めることはできませんでした。
 しかし、二人とも、鴨志田さんは癌で、中島さんは事故で若いうちに亡くなっています。

 酒は百薬の長。それもまあ、嘘ではないのでしょう。
 しかし、薬だって用法・用量を守らなければ毒です。アルコールも同じ。要は適度に、仲良く酒と付き合っていけるのが理想だと思います。
 
 まあ、その適度っていうのが、こればかりは個人のアルコール分解酵素によるものなので、難しいんですけどねえ。
 しかし、下手に酒に強いと、自分の体を過信して飲み過ぎる……ということにもなります。

 ちなみに、昔のギャンブラーが、負け続けの時に空腹を紛らわす方法があります。
 それは、粉の唐辛子を舐めながら日本酒を飲むことです。すると、胃が荒れて、食事を取らなくて済むのだそうで。
 辛いものと酒は、胃を荒らすのは違いないですね。

 アル中は、治ったとしても、とにかく一滴も酒を飲んではならないそうです。
 つまり、1回なってしまったら、二度と酒が飲めなくなります。
 肝臓を痛めた程度なら、治れば普通の晩酌ぐらいはできますが、酒乱は絶対に飲ませてはいけないとのこと。
 酒が飲めなくなることで人生止めたくなるくらいならば、酒とは上手く付き合うことです。ほろ酔いぐらいで止めておく勇気。酔うまで飲まないという節度。
 それが、巡り巡って、あなたの健康に関与してきます。

 私も酒飲みなので、「酒が飲みたい」という気持ちはわかります。
 なので、アル中になる前に、勇気と節度を持ち合わせましょう。お互いにね。
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