エレ君とクリームソーダ | 魔法石の庭3rd

エレ君とクリームソーダ

 昨日のスピリット界。

「エレ君、毎日勉強で感心だから、ジュースおごったげるよ」と、エレ君をアルテミスに誘いました。
「ええと……でも、僕、バーに行くような服がなくて……」と、ローブ姿でごにょごにょ言うので、「子供が遠慮なんてするもんじゃないよ。ほら!」と、洋服を白いシャツと半ズボン(すみません、私の趣味ですねw)に変えます。

「おいおい、かみな、この間赤毛に『エレを連れてくるな。子供が酒場にいるとまずいから』って言われたばかりだろ?」と茨が忠告してくるので、「いいじゃんいいじゃん。たまにはそういうのもさ」と強引にエレ君を連れて行く方向に話題を切り替えます。

「はあ。まあ、良いのではないでしょうか?かみなはアルテミスのオーナーでもありますし」と真理矢も珍しく賛同したので、茨は「わーかったよ。しょうがないな」と両手を挙げて降参のポーズを取ります。

 そのまま、4人でアルテミスへ。
「赤毛ー、オーナーのお帰りだよ!」と言うと、赤毛は顔をしかめて「だから子供は連れてくるなって……」と言います。
「ああ?私は何だっけ?オーナーぞ?私、オーナーぞ?」と言うと、赤毛は「仕方ないなあ……でも、子供に酒は飲ませないでよ?」と言ってカウンターに座るよう促します。

「さて、エレ君、ジュースは何が良い?色々種類あると思うけど……」と私がソフトドリンクのメニューを指して言うと、「え?こんなにジュースって種類あるのですか?」と軽く驚いています。
 まあ、それもそのはずで、ソフトドリンクの中にはジュース以外にもソーダ類とか、ノンアルコールカクテルなんかも含まれているからなんですけどね。

「ぼ、僕はりんごジュースで……」と、エレ君がきょろきょろと落ち着かないまま言うと、茨が反対側からにゅっと手を伸ばしてきて、「子供が遠慮するもんじゃないってかみなに言われたろ?前、クリームソーダを飲んでみたいって言ってたじゃないか」と、少し料金の張るクリームソーダを指して言います。
「え、ええと……」とエレ君が挙動不審のままでもごもごしているので、「エレ君。ここは私たち館の人間が運営している飲み屋だから、少しくらい高いものを頼んだって平気なの。このお兄さんだっていつも優しいでしょ?」と赤毛を指さすと、赤毛は「そうとも。私ほど優しいガイドはいないよ?」と胸を張ります。……威張るな。

「うー。じゃあ、それで……」とエレ君が決まったところで、私は「じゃあ、私は林檎ジュースを使ったカクテルを頼もうかな」と雑な頼み方をします。……だって、カクテルの名前ってよく知らないし。
「はいはい、かみなには甘いカクテルね」とどこか馬鹿にされている気がしたので、「赤毛、私のことお子様舌だって思ってないでしょうね?」と睨むと、「思ってない思ってない」と、思いっきりあしらわれています。

 そこに、「おう、茨とその仲間たち!」と、聞き覚えのある声が聞こえました。
「あ、茜さん。こんばんは」と挨拶すると、黒髪をお団子にして角を隠した茜さんが茨の隣に座ります。
「茜さん、一応気を遣ってくれてるんですね。角を隠すなんて」というと、「ふふん。あたしは茨みたいに厚顔無恥じゃないからね」と胸を叩きます。……既に結構飲んでいるようです。

「ふん。あたしの角は茜みたいにちまっとしてないからね。あーあ、隠したくなるくらい小さい角で羨ましいよ」と茨が言うと、茜さんが「茨みたいに性格がぐるぐる曲がってないからねえ。その羊みたいな角、私こそ羨ましいね」と応戦します。
「……ちょっと。二人とも、ケンカするなら外でやってくださいよ」というと、二人はきょとんとこっちを見て、『ケンカなんかしてないけど?』とハモります。この鬼たち、仲が良いんだか悪いんだかわかりません。

「君たち、仲が良いのはわかったから、あんまり大声出さないでね?はい、注文の品」と、私の前には林檎ジュースを何かで割ったグラスが置かれます。ぐびっと飲んでみると、林檎ジュースの甘さの後に、お酒の苦みがきます。
「美味しい。やっぱ、赤毛にバーテン任せたのは良かった。どんどん進化してるからね」というと、「私も勉強してるってことさ」と赤毛がドヤ顔を見せます。

 エレ君はというと、ほわ~っとメロンソーダの泡を見つめています。
「……早くアイス食べないと溶けちゃうよ?」と声を掛けると、ようやく長いスプーンでアイスを取り、一口。そして、「……美味しい。本当に美味しいです!」と言って、私の方ににこっと笑ってくれました。

「……なんだ。エレ君もそういう顔できるんじゃん」と言うと、エレ君は「そういう顔……?」とわからない様子でしたが、私は「まあ、笑顔が出るなら、元気になってきたってことだね」とカクテルをぐいっと傾けます。

 エレ君の笑顔で酒が美味い。そんな、良い夜でした。
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