チェックという名の酒飲み | 魔法石の庭3rd

チェックという名の酒飲み

 スピリット界に降りて、明日開店するバーの最終チェックをしようと行ってみたら……。

 何故か、セルフィがカウンターに一人で腰掛けて飲んでいました。
「うん、これも合格。美味しいわ」と言って、どうやらお酒の試飲をしているようです。
 
「しかし、よく飲むね、あんたは」と言って、私もカウンターに腰を下ろします。肘を付いて、そこに頭を乗っけると、セルフィの飲みっぷりにある意味感動すら覚えます。
「ん?うふふ。私は飲むのも仕事のうちよ。こうしてお酒の弱い二人に代わって、味のチェックをしてあげてるんだから」と言いつつ、ぐいぐい飲んでいます。

「かみなも何か飲む?」と赤毛が聞いてくるので、「赤毛のシャカシャカ振るところが見てみたいなあ。ピーチフィズ!」と注文します。「ピーチフィズって振ったっけ?……まあいいや」と言って、お酒を入れて、シャカシャカしてみせます。それに、炭酸を入れて、あっという間にピーチフィズの完成!

「うわー、あんた、口さえ開かなければすっごいモテるよ多分!バーテンってモテるらしいし」と言うと、「当然。私は良い男だからね」と、ポーズを決めて見せます。……ホント、性格以外は容姿も良いし、知性も感じられるし、良いんだけどね……。

「かみなも、セルフィも、なにかおつまみ作りましょうか?空きっ腹にお酒は良くないですよ?」と姫様が言うので、「それじゃ、温かいうどんが食べたいな」というと、「はいはい。セルフィは?」「私も同じので」と注文すると、姫様はそのまま厨房へと引っ込みました。
 しばらくして、二つのどんぶりに湯気の立つ、きのこたっぷりのうどんが出てきました。

「うわ、美味しそう。きのこ大好き!」と言いつつ、私は猫舌なため、少し置いて冷めるのを待ちます。そして、ふーふーと吹きながらもぐもぐ。
「うん、美味しい。お出汁がちゃんときいてる。これ、仕込むのに苦労したでしょ?」と聞くと、「いえ、精霊たちが手伝ってくれているので、だいたいどんな料理でもできますよ」と言います。……確かに、厨房は広く作ってあります。スピリット界では、食材は腐らないので、そのまま置いておいても平気。虫も沸きません。

「ところでさあ、かみなのうどんの食べ方ってどうなの?猫舌なら、最初から冷たいうどん食べた方が良くない?」と赤毛が言うので、「わかってない。あんたはわかってない。温かいうどんを冷まして食べるからいいんじゃないの。冷たいうどんってあんまり好きになれないんだよね。単に美味しいうどんを知らないだけかもしれないけど」と言いつつ、お酒を飲み、うどんをほおばります。

 そこに、カランカラン、と音がして、メローネが姿を見せました。「……こっちに来ないと思ったら、ここにいたのか」と言いつつ、私の隣に座ります。
「明日の開店の最終チェックだよ。お客さんに美味しくないものを出すわけにはいかないしね……まあ、赤毛と姫様なら、そつなくこなせるとは思うんだけど」と言うと、メローネは「俺はウィスキーのロックを」と言って、「セルフィ、あまりかみなに飲ませるなよ」とたしなめます。

「まったく、過保護なんだから。大丈夫よ。まだかみなも一杯しか飲んでないし」と、セルフィは笑って、「次はコーヒーのチェックもしておこうかな。ホットコーヒー!」と言って、注文します。
 そして、メローネの前に出されたものを見て、私はぎょっとしました。だって、ウィスキーがジョッキで入っているんです!
「ちょ……こんなのお客さんに出すの!?」と赤毛に聞くと、「んーん。嫌がらせ」とほほえんで見せます。「あんたは……まあ、メローネもザルだからいいけどね」というと、メローネは、最初は少し含むと、すうっと鼻から息を吸って、その後は多めに口に含んでいます。
「百年の孤独か……。酒飲みも、なかなかセンスの良い名前をつけたものだ」と、ぽつりと言います。「え?これが百年の孤独?私、1000円以下のやっすいウィスキーしか飲んだことないんだけど!ちょっと飲ませて」と言ってジョッキを奪い取り、口に含んでみます。モルトの香り、樽の木の香りがして、すごく美味しい。でも……。

「げほっげほっ」とむせてしまいます。ちょっと口に含む量が多すぎたようです。アルコールって、むせませんか?私だけ?

「もういいや。次、マリブ!名前はわかんないんだけど、ジュースで割ったやつ!」と注文すると、「おい、あまり飲み過ぎるなよ」と、メローネに注意されます。「2~3杯くらいは平気だよ。昔、梅酒のコップ酒を飲んだら、すっごくテンション上がって猫を抱いてぐるぐるその場で回ったりしてたけど」と、そういえばこの話、前にもしたなあ、と思いつつ話します。

 うどんの残りを食べて、汁まで飲んでから、マリブが来ました。オレンジジュースで割られた、ココナッツのお酒です。
 セルフィはコーヒーを飲みながら、「うん、合格。これならカフェもできるかもね」と褒めています。

「メローネも一口どうぞ」と言って、マリブを差し出すと、一口飲んで、「甘いな」と言います。「マリブって、ラム酒の類いだから甘いんだよ。私、辛いお酒は苦手だからさ」と言って、私もマリブを口に含みます。このココナッツの南国感、たまらんわ。よく、セレブがビーチで飲んでるカクテルの味ってこんな感じだろうなって。

 そんなこんなで、昼間から飲んでしまいました。
 明日はついに、バー「アルテミス」の開店です。どれくらいお客さん来るかな?
にほんブログ村 哲学・思想ブログ スピリチュアル・精神世界へ
にほんブログ村
スポンサーサイト

コメント


管理者のみに表示