『無駄』を楽しめるということは | 魔法石の庭3rd

『無駄』を楽しめるということは

 さて、多肉のことばかり書いてもなんですから、久しぶりにスピリット界のことを書きますかね。

 というのも、久しぶりに女教皇の所に行ったら、宿題を出されたのです。
「あなた、式神とばかり話していてはだめよ。ちゃんとガイドとも話さないと」と言われたので、時間がないときはおざなりにあっちに降りて、式神二人とばかり会話をしているのをばれた!とちょっとギクッとしました。
「なるほど、話題がないようね」と、女教皇はくいっと自分の顎を上げます。

「それなら、私が話題を提供してあげるわ。この館のガイドに、『自分のしている無駄なこと』を聞いて来てご覧なさい。もちろん、そのまま聞いてもだめよ。ちゃんと、会話になるようにね」と、部屋からぽんと式神二人と一緒に放り出されます。

 茨が、「さあて、どうする?女教皇の機嫌が悪くなるのを承知なら、別に無視しても構わないけど」と言うので、私は「それは困るな。女教皇、根に持つタイプだろうし。しょうがない、聞いてこよう」と、ぐるっとガイドの部屋を一周することにしました。

 まずは、赤毛の部屋です。
「赤毛さあ、アルテミスのお客さんと話してて、無駄だって思ったことない?確かに、暗黙の了解で一人30分までって決まってるけど、もっと効率を良くして徳を稼ぎたいとは思わないの?」と私が聞くと、赤毛は少し首をかしげて、「ないね」と言い放ちます。
「私は、女の子と話してるのが好きなんだ。どんな無駄話でも良いんだよ。女の子と話してると、すごく落ち着くし、客とはそれから先の関係になろうとは思わないね。そりゃあ昔はワンナイトラブなんてこともあったけどさ。それと接客は別だね」とか。「ふーん……」

 次に、姫様の部屋。……にいなかったので、アルテミスまで降りて厨房を覗いてみると、姫様が大鍋と格闘しているところでした。
「姫様、そういう下処理って、無駄じゃないんですか?たとえば、精霊に任せるとか、他にも人を雇うとか……」と言いかけると、姫様は汗を拭きながらにこっと笑い、「いいえ。これは、私がやらなければ意味がないのです。精霊たち……あの子たちもずいぶんと慣れてきましたけど、それでも、『アルテミスの味』は私のものなんですよ。確かに、お料理は大変ですけど、それで徳を頂いている分では、ちゃんとしたお料理をお出ししたいんです」と言います。

 それから、このブログではあまり活躍の場がない(申し訳ない)スーパーマンの部屋。
「僕にとって無駄なこと?いや、ないな。全部必要だよ」というので、「一日に何回か館をパトロールしたり、アルテミスの用心棒としてずっと待機の時間でも?」と聞くと、「うん。その通りだ。僕が暇だってことは、何も事件が起きないということさ。その時間も、全てが無駄ではないんだよ」と答えます。

 そして、セルフィの部屋。
「なんだか、皆に無駄なことを聞いて回ってるみたいね」と先手を打たれ、「……まったく、その聞き耳の早さは何なの?」とあきれてしまいます。
「で、私の無駄なことね。たとえば、あなたたちとお茶会をしたりしている時間かしら」というので、「お茶会は無駄じゃないと思うけど……」と反抗してみたところ、「あら。暇な時間に色んなことをくっちゃべって、それだけで何の成果もなくて良い。それって立派な『無駄』じゃないの?」と言われます。確かに……。

 最後に、私たちの寝室に行きます。
「メローネ、メローネの無駄なことって何?」と聞くと、「俺か……俺はそうだな。こうして銃を手入れしている時間だな」と答えます。「え?銃を手入れするのって、別に無駄じゃないでしょ?」と聞くと、「いや。この銃を分解するのは今日が2回目だ」とか。
「男の人ってそういう所あるよね。無駄に何かを分解して、組み直してみたり。確かに無駄ではある、か」と納得すると、「それに、1回目で見落としていた不備が見つかったりするからな。いざというときにジャミング(弾詰まり)したり、下手をすると暴発してこちらの腕がやられる危険性がある。まあ、念のためというやつだ」と、薬莢の入っていない銃を向けられ、私は両手を上げて降参します。

 そして、女教皇の元へと戻りました。
「どうかしら?何か成果はあった?」と女教皇が言うので、私はまるで面接を受けている学生のように緊張してしまいます。
「ええと……皆、それぞれ言ってることはバラバラだったけど、一つ、繋がっていることを見つけたのです。皆、無駄なことをしているはずなのに、何故か楽しそうで。まるで、無駄ということを自分の中で内包してしまっているような。そんな感じでしたね」
 
 私がそう答えると、女教皇は「ふん。まあ、そうね」と、合格点を出してくれました。
「ちょっと前に流行ったでしょう?トリビア。『人間は、無駄な知識を仕入れると快感を感じる生き物』だと。それは、人間というものと、ガイドスピリットとが同じように持っている性質なの。たとえば、私がこの間植えた玄関の薔薇と、この薔薇」と言葉を句切って、女教皇は自分の部屋にある薔薇の鉢植えに手を掛けます。
「これも、あなたに頼めば、半永久的に咲かせることができるわ。それに、今の科学力で言うと、そろそろ『世話をしなくても枯れない植物』が出てくるでしょうね。でも、それじゃダメなのよ。それが流通しても、私たちは植物の世話をするでしょう。たとえ無駄だとわかっていてもね。無駄って、そういうことよ」
 
 なんとなく、わかったようなわからないような?まあ、女教皇の個人レッスンが受けられたのですから、まあ必要なメッセージなのでしょうね。
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