エレ君が襲われた!? | 魔法石の庭3rd

エレ君が襲われた!?

 スピリット界に降りると、茨の姿がなく、「またエレくんのところかな?」と予測しました。
 真理矢は、いつも通り私の後ろに控えています。

 で、知覚がいまいちだったので、何か飲んだりつまんだりしようと、キッチンへ。
 すると、黒髪の小学校低高学年くらいの男の子が顔を手で覆っています。すん、すんと鼻をすする音がするので、多分泣いています。

「エレ君?ち、ちょっと待ってね。知覚上げるから」と断ってから、冷蔵庫にあった麦茶(多分姫様手作り)を一杯飲んで、知覚を上げます。

「……で、どうしたの?茨がそんなに怖く怒った?でも、茨もいないな……」と言うと、エレ君は可愛い顔を泣きはらして、「実は……」と話し始めました。

 なんでも、エレ君には昔の仲間……というか、ストリートボーイの中にも序列があり、ケンカの強いやつ、頭のいいやつは上位で、その子たちのことは絶対に言うことを聞かなくてはなりませんでした。
 しかし、エレ君が館に来たことで、その序列が崩壊しようとしています。
 慌てた今の序列上位の子たちが、「社会勉強」とお使いに出されたエレ君を待ち伏せして、殴ったり蹴ったりした挙げ句、お使い用の金を巻き上げたそうです。
 エレ君が、あの札束を持っていなくて正解でした。というか、今まで気づかれなかったのが幸いです。

「お館にいるんだから、小遣いくらいいつでももらえるだろ?金持ちなんだからよ!」と吐き捨てられ、エレ君は怖がって町に近づけなくなってしまったと。物理的にではなく、精神的に、です。町を見ると、「また待ち伏せされているかもしれない」という恐怖で足を進めることができないとか。

「なるほど……で、茨は?」と聞くと、エレ君の様子がおかしいのに気づいた茨が問いただし、話を聞き終わるや否や、飛び出していったそうです。

 エレ君にはわからないかもしれませんが、私にはわかります。茨は、その悪ガキどもを懲らしめに行ったのです。
「どうせ、『あんの悪ガキども~!!』ってえらい勢いで出てったんでしょ?」と茨の真似をしてみせると、エレ君はきょとんとした後、「……ふふっ。そうです」とようやく笑ってくれました。

「エレ君は華奢だし、悪ガキには力では勝てないもんね……エレ君にお金を持たせるのは、『鴨が葱しょって歩いてる』のと同じか。でも、エレ君はうちに来たばかりだから、まだ徳も集まってないしなあ。今度から、誰かに付いてて貰って、買い物ならできるかな?」と聞いて見ると「……でも、僕にはできるか……」と視線を逸らします。

「じゃあ、こうしよう。最初のうちは、町の入り口まで行けたら合格。しばらく経ったら、町の入り口のお店屋さんを覗いてみる。そうやって、段々町に慣れていけば良いんじゃないかな。これは、精神科でも使われてる療法なんだよ」と言うと、エレ君は「精神科?」と首をかしげます。

「……もしかして、スピリット界に精神科はないの?」と真理矢に聞くと、「少なくとも別れてはいませんね。ドクターは、基本的に何でも診ます。患者が幽霊の場合、怪我などは精神的によるものが多いのです。だから、広義ではこっちに精神科はありません」とか。
「なるほど……風邪引いた時も、心の風邪も同じってことか。でも、それじゃドクター大変だね?」と聞くと、「うちの町がそういうだけで、ちゃんと分かれている……たとえば、町、ではなく市、になると大きな病院内で扱う病気によることもありますね」とか。

「まあ、今のエレ君は、心に傷を負ってしまったってことだよ。特定の場所でショックな何かがあると、そこが怖くて行けなくなる。私も教室恐怖症だしねえ……。まあ、これからは館の住人に付いててもらうから、少しずつ慣らして行くと良いよ」
 そう言うと、エレ君は「……はい」とためらいながらも返事をくれました。うん、男の子だもんね。意地があるよね。

 すると、サッシになっている窓からガンガン、と窓を叩く音がします。
 見ると、茨がその手を血で染めながら、ニコニコしています。一見、長い黒髪の美女が「開けてよ~」と来ているようです。……これなんてホラー?
 茨の後ろには、何人かの小中学生くらいの男の子たちが並んで正座しています。どの顔も、ボコボコです。

 サッシを開けながら、私は「茨~。何子供相手に本気になってんのよ」というと、茨は悪びれもなく「本気じゃないさ。ちょっとどついただけ」と言いつつ、キッチンに上がってきます。

「さて、お前たち、言うことがあるだろう?」と茨に言われ、子供たちは一斉に「館のご主人、すみませんでした」と頭を下げます。
「……謝る相手が違うでしょうに」と私が言うと、慌てて子供たちは「エレ、ごめんなさい。もうしません」と土下座します。

「ま、この館の者に手を出したらどうなるか、わかっただろ?この館は家族……そうだな、マフィアで言うところのファミリーだ。下っ端でもファミリーはファミリーなんだよ。今後も手出ししたら次は容赦しないよ。わかったらさっさと散れ」と茨がしっしと手を振ってみせると、子供たちは我先にと逃げ出しました。

「さて、そういうことだ。だが、用心に越したことはないからね。エレ、あんたは買い物に行くときは誰かと一緒に行くことだね」というので、私は茨にも訳を話して、まずは町の入り口から始めよう、と提案しました。
「……そうか。そうかもしれないね。おし、あたしが付いていってやるよ。乗りかかった船だ。あんたが一人前になるまであたしが面倒を見てやる」と茨が言うので、「ずるーい。私もエレ君とデートしたいのに」と私が口を挟みます。

 茨も、ちゃんと式神の仕事してるんだかわかりませんが、まあ、大丈夫でしょう。災い転じて福と成す、といいですね。
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コメント

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Re: タイトルなし
マラカイト、すごく癒やしっぽい石ですよね。こちらも柔らかいですけど・・・。
私は、集めていたサザレの中にマラカイトがあったのですが、てっきり人工的な石かと思っていました。あんなに美しい緑の縞模様が自然にできるとは思っていなかったのです。

ファンの声優さんの付き人なんて、本当に応募したら100単位で来るでしょうね。
シロガネさんの夢のお話し、面白くて好きですよ。私は、夢の中でシャドウ陽介みたいな人に「この夢の話は現実でしない方がいいよ」と目覚める直前に言われた夢がありまして、今は全然覚えてないんですけど、ちょっと怖かったですねー。もちろん、現実ではしていません。

しかし、ルーアンさんつながりなら、選んでくれてもいいのに!w
あ、でも、仕事と恋愛を分けるタイプかもしれませんね。シロガネさんと会うと、集中できないかもしれませんし。
杏樹さんが以前、「シロガネはいい女だぞ」と言っていたので、シロガネさんはきっと魅力的な女性なんですよ!
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Re: タイトルなし
目玉模様のマラカイト、可愛いですよねえ。目玉には、「邪眼(他人の嫉妬)」を跳ね返す、という力があるらしいので、クレオパトラも使っていたらしいですよ。
マラカイトの間は知りませんでした。教えてくださってありがとうございます!

そうですねー怖かったですw夢の中でリアルに「話してはいけない」と言われると、やっぱぞくっとしますよね。

横にいた女性は、多分仕事関係の人ですよ。シロガネさんが嫉妬することはないと思いますw
杏樹さんも微妙にのろけるんですよねえ。その、のろけ具合が的確で、こっちも「そうですか」としか言えなくなります。
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Re: タイトルなし
ファーストストーンにマラカイトを選ぶとはお目が高い!

精神的に疲れていたりすると、ガイドさんの方からコンタクトを取ってくることもあるので、その声優さんはルーアンさんだったのかもですね。
杏樹さんもルーアンさんもリンさんも、シロガネさんのガイドさんたちは皆、シロガネさんのことが大好きなんだなーというのが分かりますよ^^

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