結婚準備編 | 魔法石の庭3rd

結婚準備編

 ちょっと早いですが……スピリット界に飛んできたら、真理矢の気配もメローネの気配もありません。
 しかし、なにやらガヤガヤしているのはわかります。ガイドたちや精霊が「手作り結婚式」にいそしんでいるようです。

 ってことは、真理矢もメローネも控え室みたいなところで待ってるのかな?と。
 あ、場所は、一応道場を一旦まっさらにして内装を変えてありました。真っ白な布が天井からいくつもぶら下がっています。

「お、かみな。主役の登場だね」と言いつつ、茨は何をしているかというと……ケーキ食ってます。おい。それ、ウェディングケーキじゃないの!?
「い、茨!あんた、新郎新婦が切り分ける前にケーキ食うなよ!」と言うと、「いいじゃん。どうせ、こういうのは習慣だからね。あたしが今食ってたって平気平気」と言われます。こいつ……。

「と、いうより、あんたらケーキ入刀なんてするのかい?」と言われ、「……そういえば、プログラムにはないかも」と返すと、「だからいいじゃないか。飾り付けの一部なんだからね」と、モリモリ食っています。そうだけどさ!食いかけのケーキを飾り付けるってのもなんかアレじゃん!

「かみな様、こちらに」と、精霊の一人が呼びに来ました。
 ついていくと、館の姫様の部屋に呼び込まれます。
 すると、姫様とセルフィが待っていて、「ドレスの用意ができてるわ」と、こっちを見ながら言います。

「ああ、そう……。ちなみに、どんなの?」と聞いて見ると、「じゃーん!」と部屋の半分を覆っていた白いカーテンをまくってみせます。

 そこには、上はアオザイのような上品で清楚な感じ、スカート部分は申し訳程度のフリルとマーメイドラインの足が見える感じのドレスがありました。
 セルフィがいたので、内心「ゴスロリ風ドレスとか用意されたらどうしよう?」と思っていたのですが、全体的に清楚でシンプルな構成だったので安心しました。

 色は、薄い青。私が青が好きなので、そうなったのかもしれません。
 しかし、腰の部分に大きなリボンが巻いてあり、これはセルフィが多分譲らなかったんだと思います。
 ベールと靴もセットで、靴は白い、革製のヒールの高い靴で、ちょっとだけ厚底。私が靴を検分していると、セルフィが「マーメイドラインって、足が綺麗じゃないと太って見えるでしょ?あなたは足が綺麗なんだから、見せないとね。それと、靴も厚底でヒールの高いの履くから、もっと足が綺麗に見えるでしょ?」と説明します。

「さあ、着てみてくださいな。私が夢にまで見たかみなの花嫁衣装。……残念ながら、現実の親御さんたちには見せられませんが、まあ、それは現実で頑張ればいいとして……きっと美しくなりますよ」
 姫様にそう言われ、女3人でキャーキャー言いながらドレスの着付けを始めます。
 よく見たら、ドレスの裾にもフリルが。これも、セルフィの譲れないところだったんでしょうかね。

「メイクも。かみなは清楚系なのですから、あまり厚塗りはしませんよ」「あら、メイクぐらいはバシバシやっちゃっていいんじゃないかしら」「ダメです」「なんでよ?」
 と、2人がもめはじめたので、女性がもめている時は大人しく鎮火を待った方が良いと経験でわかっている私は大人しくしていました。

 で、「あまり派手にならず、清楚を活かすメイク」に落ち着いたようです。
「……というか、セルフィってあんまり厚化粧じゃないじゃん。どうして私にはそこまで厚くしたいわけ?」と聞くと、「かみなの顔は地味だから」「……」と、私は黙ってしまいます。ええ、ええ。地味で悪かったですね。高い鼻も奥目でもないですよ。

「日本人の顔には日本人の美しさがあるんですよ。メローネさんも真理矢ちゃんも、かみなの素顔がいいんでしょうから、変に化粧で変えようとしなくていいんです」と言いつつ、姫様はファンデーションを私の顔にポンポンとたたき込みます。
「……そういえば、モンゴロイドって、日本人とモンゴル、それからトルコの一部にしかいないんだよね。トルコは親日国だから、『日本とトルコは、一方は東へ、一方は西へと別れた兄弟だ』って言うみたい。よく中国とか韓国が調子の良いこと言って『日本とは兄弟だから』って言うけど、人種的には日本人とはそもそも違うんだよねえ」と、私はどうでもいい雑学を披露します。

「はあ……でも、私がまかり間違って現実で嫁入りすることになったら、母親と祖母でもめそうだなあ……。どっちも気が強いし。てか、結婚も、披露宴は絶対に挙げろ、とか言いそう。……今から鬱になってきた」
 私がそう言うと、「まあ、お相手も決まってないのに気が早いことですね」と姫様がクスクスと笑います。
「笑い事じゃないんですよ~う。だって、顔もろくに知らない親戚に挨拶回りするとか、めんどくさいでしょ。人見知りの私からしたら地獄でしょ。友達いないから友人席ガラガラだろうし。……鬱だ」というと、「本当の鬱の人に笑われますよ」とたしなめられます。

 やがて、メイクが終わると、コンコン、と扉がノックされました。
「入って良いわよ」と手持ち無沙汰にしていたセルフィが答えると、そこには、白いスーツを着た、メローネと真理矢がいました。
 メローネは髪を整髪料でなでつけ、真理矢は長い髪をアップにしてまとめています。

「ほう……」と先に入ってきたメローネが目を細めると、対照的に真理矢はぱっと目を輝かせます。
「姉様、とても綺麗です!いや……こんな言葉しか出てこないのですが、本当に綺麗です!」と真理矢が私の手を取ります。
「……メローネ?」と声を掛けると、メローネも「ああ、綺麗だ」と言葉少なですが、そう言って自分の髪を触ります。

「うふふ。二人ともありがとう。二人も、男前だよ。……真理矢は女前?いや、カッコイイ」というと、真理矢もメローネもふいっと視線を逸らします。……どうやら、褒められるのは慣れていないようです。

 さあ、ついに結婚だ。
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