襲い方のマナー | 魔法石の庭3rd
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襲い方のマナー

 今日、「お茶淹れに行こうかな」と立ち上がった際に、ふと、オタくんにいたずらしてみたくなりました。

「……んっ」

 私は、オタくんのいる方向に、背伸びをしてみました。
 ただ、足下に布団が敷いてあるので、ぐらぐらして安定感がないです。

「んーっ」

 私は、不満に思って、今度は飛び跳ねるようにしながら首を上に向けてみました。

オタくん「さ、さいめちゃん……なにしてるの」
「……わからないなら、いい」

 私は「わかってるくせに」と言外に示しつつ、
「お茶にしようか」
 と、オタくんに背を向けながら言いました。

オタくん「わかってるよ。わかってるけど、さいめちゃんは嫌だって言ったじゃないか……」
「気が変わったの。それに、オタくんからじゃなくて、私からなら、いい」
オタくん「そんな、無茶苦茶な論理……」
「無茶苦茶じゃない。ここは私の部屋。私の管轄地区。私の言うことが全て」

 オタくんは、「付き合いきれない」とばかりにうつむきます。
 それで、そのときはそのまま、お茶を淹れに行って、オタくんとも普通に会話したりしていたのですが……。

 
 夜。
 私とオタくんはお風呂に入っていました。
 ついでに、脱衣所で、今度は安定した足場の時につま先立ちで背伸びしてみたのですが、オタくんは
オタくん「やめなさい、その気もないのに」
 と、たしなめてきました。

 私は、オタくんに「俺の方が大人」的な対応をされたのが気に入らず、湯船の中で正座してふてくされていました。
 というのも、私は別に、オタくんのことが好き好きすぎてキスしたかったわけではなくて、ただ単に「180cmの人と164cmの私がキスするってどんな感じかな~」という100%好奇心でキスを仕掛けていたわけです。
 結果、「相手にかがんでもらわないとこの身長差でキスは難しい」っていう実体験を得られたのですが。

 で、湯船に浸かっていたところ、なんか、正座している膝がすうっと割られていきます。
 足を掴まれて開かれている感じ。
 最初、「湯船の底で滑ってるのかな? 」と思っていたんですが……。

 なんか、その足の真ん中に、オタくんが体を割り込ませている感じが!!
 ひゃあああ! そういうこと!? そういうことなの!? と、ぐるぐると考えてしまいます。
 落ち着け私……ただのオタくんの意趣返しかもしれない……。

 ぐるぐるしている私を、這うように足の間に入っているオタくんが、見えます(第六感で)。
 お風呂に入っているのでいつもの眼鏡がなく、真剣な眼差しが私を射貫きます。

オタくん「……こういうことだよ」
「何!? どういうことっ? 」
オタくん「俺に期待をさせたら、さいめちゃんはこういうことになるんだよ」

 やっぱりそういうことだった!! てか、期待って何!?

「オタくん、止めて」

 私は、急いで足を閉じて、オタくんの体を押し返します。
 
オタくん「ごめんね、怖がらせて」
 
 オタくんは、少し気落ちした感じで、すうっと体を引きました。
 そして、私に背を向けます。

「……でも、恥ずかしいだけだから」
オタくん「え? 」
「恥ずかしかっただけ。あと、ここは共用のスペースだし。それだけ。怖いとか、嫌とかじゃなかった」

 オタくんは、振り向きこそしませんでしたが、ごくりと喉を鳴らします。

「オタくんのことは、嫌でもないし、怖くもないから。でも、ここは家族も使うから、いきなり襲うとかはやめて」
オタくん「それは、期待してもいいっていうこと? 」
「でも、いきなりはやめて。少しずつ、にしてね」

 私も、オタくんに背を向けました。
 お互いの背中が、触れあいます。

「今は、これだけ」
オタくん「ああ、それもいいね」

 五感化していないのに、背中が少しだけ温かく感じました。
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