真理矢と茨は友人未満他人以上 | 魔法石の庭3rd

真理矢と茨は友人未満他人以上

 ちょっとのつもりでスピリット界に降りたら、茨が先に来ていて、「ああ、ちょうど良かった。髪を結ってくれないか?」と新設した応接間のドレッサーの椅子に座ってくるりとこっちに背を向けます。

「……姉様、私が結びましょう」と真理矢が言うと、「あー、誰でも良い。結んでくれ」とどうでもいいように答えます。
「しかし、髪を結うといっても、色々あるでしょう。単に結べれば何でも良いなら、あなたに一番似合わない髪型にしてあげますが」と真理矢が黒いことを言うのですが、茨はのんきに「じゃあ、三つ編みで頼むよ。……で、あんまりきっちり結わないでくれ。最近流行の『ゆるふわ』ってやつだね。あ、三つ編みは分けないで一本で頼むよ」と、合っているのか間違っているのかよくわからない頼み方をします。

「……鬼のくせに注文が多いんですね」と真理矢が茨の髪を手に取ると、「あたしだって女だよ?ほら、美容の云々も気をつけないとね」とか。
「うーん、確かに気持ちはわかるけど……まあ、仕事に髪に櫛を通しただけで行く私が言ってもしょうがないか」と私はちょっと「女子力」というものにアンテナ立てないとな……とも思います。

 真理矢は器用に髪を編みながら、「しかし、茨の髪型はよくわかりませんね。もみあげからサイドまでは短くて、正面から見るとボブヘアーなのに、後ろ髪は長いって……後ろだけ長い……あっ(察し」とか言います。
「いや、あたしはヤンキーの子供じゃないからね?そんなに長いところが少なくないし」と、茨がどうでも良い情報を持ってきます。

「はい、できました」と真理矢が仕上げに茨の頭にぽんと手を乗せると、「おお、ありがとう。どうだい?少しは身だしなみに気を遣ってるように見えるだろ?」と茨はご機嫌です。
「……本当は、単に髪が邪魔になったんでしょ?」と言うと、「そ、そんなことあるわけないじゃないですかあ~」と、思いっきり取り乱します。図星だな。

「……しかし、茨、あなた服装にもちゃんと気を遣わないと。上から見ると、胸が見えそうですよ」と真理矢が冷静に指摘しますが、「あたしの胸なんて、見て活力が沸くならいくらでも見るが良いよ」とカカカと笑います。
「ちなみに、下着は?」と聞くと、「付けてるよ?下から支えるやつ。さすがにブラジャーしないと胸が垂れるからね」と胸を張ります。……茨が胸を張ると、おっぱいが……その、強調されて。

「でも、ブラジャーを付けると逆に胸が垂れるとも言いますが」と真理矢がツッコむと、「おや?おや?真理矢ちゃんはもしかしてノーブラ派かい?なかなか大胆だね」と茨がニヤニヤします。
「ノーブラってわけでもありませんが……一応ちゃんと付けてます。ただ、寝る前はブラジャーは外した方が良いというのは知っています」と真理矢が反論しますが、「あたしたち式神って眠るのか?」と言われ、「確かに……」とちょっと声を落とします。

「何?式神って寝ないの?」と聞くと、「まあね。一応あたしらは、主であるあんたを常に守り、時には慰めになる存在だよ。寝てる暇なんてないね。可能なら、夢の中でも登場するし」と、茨が言います。
「……そういえば、メローネはあんまり夢に出てきてくれないけど、真理矢は出てきてくれるね。あれって、寝てないからだったんだ……」と言うと、「その通り」と茨が言います。

「でもまあ、これからは式神が2体だろ?だから、交互に休んだりもできるけどね」とのこと。
「じゃあ、私、今まで真理矢に無理させてたってこと?」と言うと、真理矢が即座に「それは違います」と否定します。
「式神になったのは、僕の意志でもあります。24時間ずーっと起きていても、僕は苦痛には思いません」ときっぱりと宣言するものの、「はっ、無理しちゃって」と茨が茶々を入れます。

「無理なんかしてません。茨こそ、どうなんですか?あなた、自由に行動してるだけじゃないですか」と真理矢が反撃に出ると、「でも、かみなの側は離れないだろ?式神としてはちゃんと仕事してるじゃないか」と言うと、「それでもあんたは自由すぎるんだよ」と私も応戦します。

「なんだい?ずいぶんと二人とも突っかかってくるじゃないか。あたしは、最低限の式神の仕事をしてるだけさね。仕事が終われば、あとは自由だろ?真理矢みたいにサービス残業しない派閥なんだよ」と「わかってないな」というふうにオーバーアクションで両手のひらを上に向けます。

「……なんか、メローネが『厄介だぞ』って言ってた意味がわかった。茨、あんたは確かに頭がよく回るよ」とため息をつくと、「メローネって、あの背の高い銀髪の男かい?確かあんたの婚約者だったね」というので、すかさず真理矢が「僕も婚約者ですけどね」と釘を刺します。

「わかった。わかったよ。茨は自由にしてれば?真理矢がきちっとしてる分、茨との相性は悪くないと思うし」というと、真理矢が「どこがですか!」とえらい剣幕で詰め寄ります。
「……でも、真理矢は別に茨のこと嫌いじゃないでしょ?きっと、心を許せる盟友になれると思うんだよね。一杯ケンカしなさい。ケンカするほど、相手の本音がわかってくる。現実じゃ、それで別れるなんてことにもなるけど、スピリット界はある意味楽園だよ。ケンカしても仲直りできる。引力と斥力の関係だよ」と私は諭します。

「ふうん。要するに、あんたはこう言いたいわけだ。真理矢があたしとケンカするときは、斥力が働いている。でも、さっきみたいに髪を結ってくれたりするときは、引力が関係しているわけだ。心は科学で解明できる。そういうことだね」
 茨がそうまとめると、猪突猛進の真理矢は「はあ……」と、いきなり科学に進路を変えられて、戸惑っているようです。

「うん。でも、なんとなくあんたたちも、ちゃんと友人になれる気がするんだ。だから、出会いをふいにしてはいけないよ。真理矢も友人の一人や二人欲しいでしょ?」というと、「まあ……たまに、式神とか全てを超えて友人ができたらとも思わなくもないです」と言うので、私はうんうんとうなずきました。

「真理矢。真面目すぎるあなたと、適当すぎる茨は、きっと道が交わる。その時を大事にしなさい」と、私は、珍しく主っぽいことを言います。
 ……これでケンカしても仲直りできたらいいんですけどね。
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