鬼と縁ができた | 魔法石の庭3rd

鬼と縁ができた

 今日は診察の日だったのですが……。
 ……お薬増えました。あっがががが。

 それも、主治医に「仕事は行けてる?」と言われ、「ええと……最近調子悪くて行ってないんですけど」と言ったら、「ああ、それは良くないね。とりあえず仕事には行けるようにしないと……」と、モニターをにらめっこしていたかと思うと、「うん、じゃあ、ロナセンをなくして、ジプレキサを増やそう」と言われました。

 え!?増やさないとダメ?違う種類ならまだ「おっしゃー新しい薬ー」ともなるんですが、普通にジプレキサはもう10mgを貰ってるんですけど。でも、ジプレキサって何グラムまで増やして良いんでしょうね?そこのところ疑問に思ったのですが、聞けず。
 で、後で薬局で会計したら、今まで1700円くらいだったのが2000円になりました。そうだった。ジプレキサって薬価が高いんだったっけ……。

 まあ、お薬話はこんなもんにしておいて。
 スピリット界でも、新しい動きがありました。

 なんか、現実世界の頭が重いんです。で、頭から何かが生えていて、それが重い、みたいな。
 で、スピリット界に行ってみたところ、姿見で確認したら、頭に二本の角が生えていました!横に長く二本、そして角の先がくるりと丸まっています。うががっ!?何この角。

 後ろを振り向いて、真理矢に「真理矢、これ何?」と聞くと、真理矢が「それ、一ヶ月くらい前から生えてましたけど……確かにこっちで実体化したのは今日が初めてです」と言われました。ええ!?

 そして、真理矢は静かに「……まつろわぬ民の中には鬼も含まれています。姉様は、鬼の力も手に入れたのです」と、聞いてないんだけど!?なことを言ってくれます。

「とにかく、この角を生やした主のところに行こう。……多分、ガイドは連れて行けないだろうな。連れて行くのは真理矢だけでいいや。鬼の人、引っ張って!」と念じると、景色がゆがんで、それから山?のようなところに来ました。

 近くには花畑。この冬の寒い時期に、もう菜の花の黄色が見えます。鬼って言うと、地獄にいるとかいうイメージがあったのですが、ちょっと拍子抜けしました。
 きょろきょろと辺りを見回していると、「お、来たのかい」と低めの女性の声がします。
 振り向くと、大きな米俵を片手に担いだ、私と同じく二本のくるっとした角を持った、黒髪で白い肌の長身のモデルのような女性がいました。……女の鬼……?

 私がいぶかしんでいると、鬼は「あたしの住処はあそこだよ。そこで話そう。茶ぐらいは入れるよ」と顎をしゃくります。そっちを見ると、昔の農家のような、立派な瓦屋根の屋敷が山の頂上に建っています。
 私たちは自然と山登りのようなことになりましたが、何故か私は息切れ一つしません。真理矢は、ふわふわと浮きながら私たちの後についてきます。

 道中無言で山を登り終わると、そこには大パノラマが広がっていました。近くには村のような集落が密集したところがあります。そして、後は稲を刈り終えた田んぼや、野菜を作っているらしき畑が見えます。
「どうだい?良いところだろう。ここら辺の開拓は全部あたしと村人がやったんだよ」そう言いつつ、鬼は家の中へと入っていきます。

 私たちが顔を見合わせていると、「何してるんだ!暖気が抜けちゃうだろ、入れ」と言われたので、仕方なく「お邪魔します……」と言いつつ家の中に入りました。
 私たちが最初に見たのは、土間。田舎の人でないとよくわからないでしょうけど、土でできた玄関のようなものです。履き物を脱ぐところは、縁側のように木で作られており、ガラスと障子でできた引き戸の向こうには畳のある部屋へと続いています。

「おお、寒い。悪いけど茶は自分で入れてくれよ。あたしも一旦ココに座るとなかなか無精でね」と言いつつ、鬼はこれだけ現代風の電気コタツに入っています。
「ええと……あなたは鬼でしょう?神様じゃないですよね……?」と聞いたところ、鬼はぴくりと眉を跳ね上げます。
「なんだって?あたしが神じゃない?」と少し気分を害したようなので、「ええと、だって鬼ですし……」とびくびくしながら言ってみます。
「ふん。あんたたちのいる世界でもそうかい。はっきり言うよ。あたしらは古代、神として崇められていた……いわゆる土着神の一柱だよ。それを、朝廷が『悪い妖怪だから退治した』と言って、『鬼は忌むもの』という風潮を作っちまったんだ。しかし、人間の中では、鬼は『鬼神のごとき強さ』とか言われるだろう?鬼は、忌むべき物であり、同時に強さの象徴なんだ。今のあんたたちの見解だとね」
 そう、鬼は言って、「寒いね。茶はまだかい?」となにげに催促してきます。逆らうのも何なので、素直に急須を取りますが、真理矢が「姉様、私がやります」と言って代わってくれました。「いや、そこの人間が入れた茶が飲みたいな」というので、「鬼さん、真理矢はお茶を入れるならエキスパートですよ。私が入れるよりずっと美味しいです」と言いますが、鬼は「いや、あんたの入れる茶が飲みたい」と聞かないので、私は真理矢から急須を受け取ります。

 お茶を湯飲みに注いで鬼に渡すと、「おお、サンキュー」と言って鬼はそれを受け取ります。
「鬼さん、私は『あんた』じゃなくて『かみな』という名前が……」と言いかけると、「ふーん。なるほどね」と、鬼は湯飲みの中をのぞき込むようにしながら何かに納得しています。
「あんた、外見はほわほわしてのんびりしているようで、実はものすごくせっかちだろう?そして、頑固者だ。職場でも、『なんであの人、ちゃんとしないの!?』と思いながら一人でイライラしているね。いやいや、責めてるわけじゃない。それだけ周りのことが見えてるってことだよ。あんたが上手く他人を頼るようになったら、まさに『鬼に金棒』ってね。てへへ」と、お茶なのにこの鬼、酔っ払ってるの?というノリで言われます。

「でもね、他人ってのは、そうそう思うとおりに動かないもんだ。しかも、職場ではほとんどがあんたより年上の男ばっかだ。普通に注意しても聞き流されるだろう。腹が立つ人間もいるかもしれない。いや、あんたはホントは鬼になれる素質を持っているのに、もったいないね」と、鬼はさらに言いつのります。私が鬼?いや、確かに母は職場で「怖い右川さん」って言われてますけど。

「……鬼さん、どうして私に力を……?」と聞くと、「ふふん。そりゃあ、あんたの体がなよっちいからに決まってるだろ?あんたは、心は確かに傷つきやすいが、魂は金剛(ダイヤ)だ。それなら、体を強化してやるのが一番良い。何、鬼の力だからね、強さは保証するよ。まだ、現実の体とはなじまないが、角が生えたのなら精神体はなじんだということだろ。あたしの力を見ただろ?女の体で米俵を担いで息を切らさずに山を登れる。そりゃあ鬼だろうて」とカカカと笑います。

「……うん。しかし、惜しいな。あんたが鬼になるにはあんたは優しすぎる。大切に育てられたんだろうな。惜しいな」と、鬼はコタツの天板の上に上半身を投げ出し……「ぐう」と、一気に眠ってしまいました。あんたはのび太か!3秒で寝おって!

「姉様、帰りましょう」と真理矢が声をかけますが、私は「うん……」と生返事をして、きょろきょろと辺りを見渡します。
 部屋の中はごちゃごちゃしており……つまり、現実の私と同じく、典型的な「片付けられない女」の部屋です。
 その中で、私は服の塚の一番上にかかっていたドテラを鬼の肩にかけてあげました。

 それで、立ち上がろうとしたところ、「ほうら優しい」と、鬼がこっちを見てにやりと笑います。
 狸寝入りか。「……そういうことをするのならもう来ませんよ?」と少しむくれて言うと、鬼はハハハ、と笑って「でも、優しいお前はまた来るだろうよ。……一人はつまらん……」と、最後はつぶやくように言います。

 ……鬼は、寂しかったのでしょうかね。なんか、「ないたあかおに」を思い出しました。
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コメント

No title
こんにちは。はじめまして。

いつも楽しく拝見させていただいてます!

たまには足跡を、と思いましてコメント書かせて頂きました(笑)

これからも楽しみにしていますねー!
『鬼と縁が出来た』というのはこれまた凄いですね……。しかも『姐さん』と呼べそうな豪快な女の鬼さんですなwでも、角の生え方が何だか日本風という感じではないですよね。どちらかと言うと『悪魔寄り』な角の生え方というか。ともかくも新しい縁、おめでとう(?)ございますo(^-^)o
Re: No title
はじめまして。
楽しく読んでいただき、ありがとうございます!
これからも頑張りますね。

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