サーシャとも契約 | 魔法石の庭3rd

サーシャとも契約

 スピリット界の応接間でお茶中。

「そうだ。前からかみなに言おうとおもってたんだけど……」と、サーシャがもじもじしています。
「何?」と聞くと、「その……私とも『血の契約』をしない?」と言い出しました。

「はて?確か、リリーが私の元にいたときは、アンチエイジング効果があるとか、吸血鬼が死なない限り死なないとか……」と思い出してみると、サーシャは首を振って、「それだけじゃ契約にならないの。リリーは、人間である養父と暮らしてきた時間が長かったから、勘違いしたのね」と言います。

「まず、アンチエイジング効果があるのは、こっちの世界でだけ。死なないのもそうね。いくら私たち吸血鬼でも、物質界には関与できないわ。ただ、『かみなさん、年の割には若いわね』とは言われるかもしれないわ」だそうです。
「それと、血を吸うだけでも駄目なの。契約の際に、一滴でも吸血鬼自身の血を口にする必要があるわ」だそうで。
「でも、サーシャは『吸血鬼の幽霊』でしょ?血なんかないんじゃないの?」と聞くと、「ふん。血は、要するにキリスト教でイエスが『これを私の血だと思いなさい』と葡萄酒を弟子に勧めたのと同じよ。血液を飲む行為は、古代ではキリストのみができることだった、神聖なる儀式なの。後々、 『血を飲ませていいのはイエスだけ』って解釈されるようになるんだけど。それに、幽霊になっても血は出るわよ?」と、キリスト教になにか思うところがあるのか、苦々しそうに言います。

 傍には、メローネも真理矢も控えていましたが、二人とも「お前(姉様)に任せる」といった感じ。
 そこで、私は「いいよ」と言いました。

「……ふん。この館でぬくぬくと暮らしていけるのも、あんたあってのことだからね。特別に契約してあげるのよ」と、サーシャは腕を組んで視線を逸らします。
『かみなのため』って言えば良いのに、ツンデレなんだから。

「それじゃあ、儀式に移るわね。えーと、なんだったかしら。そうそう、『人と我が同一化するための力をお借りしたい』」と、サーシャが、幼い声に似つかぬ重々しい口調で口上を述べます。
「『我はこの人間と血の契約を持つ。右川かみなとサディーシャの名において、血盟の契約を成す』」そう言って、サーシャは私に近づき、首筋に牙を当てます。ずぶり、と牙が沈む感覚がして、しびれるような快感が突き抜けます。
「……ええと。『人の血は確かに預かった。我の血を人に与えん』」と、つっかえつっかえながらも、サーシャは取り出したナイフで自分の指を切って、私に口を開けるよう指示すると、その指を口の中に突っ込んできます。鉄の味が口に広がって、ちょっといやんな気分。

「『……確かに、血の盟約は成された。全ては、夜の王たる主の名の下に』」と、サーシャは締めくくりました。

「……ねえ。なんか、軽くオッケーしちゃったけど、すごく引き返せないところに私っていない?」と言うと、「気のせいよ」とサーシャが言います。「こんなのはね、化石なの。吸血鬼の中で伝わる盟約の結び方なんだけど、まあ、『重要無形文化財』ってところかしら。だから、あんまり気にしなくてオッケー。こっち側で若くいられるだけでもいいじゃない」とサーシャは気楽なもんです。

「それに、なんかツッコミどころが多すぎるんだけど……ええと、サディーシャっていうのが、サーシャの本名?」と聞くと、「そうよ。サディーシャだからサーシャ。ちなみに、リリーはリリウムだからリリーよ」と初耳なんですけど!?なことを言います。

「『主たる夜の王』って……?」と聞くと、「それは、私たち吸血鬼の祖たる、悪魔リリスのことを指すわ。リリスは吸血鬼だったんだけど、アダムと交わっても、怪物しか産まれなかったので、離縁されてしまうのよね。今で言えば、子供が産まれないのを『石女』と言って離縁するようなもの。馬鹿馬鹿しいわ」と、サーシャは言います。

 周りを見渡すものの、メローネも真理矢も特に気にしていない様子。なら、安全……なのかな?

「しかし、きちんとした吸血鬼の血の契約は久しぶりに見た」と、メローネは言います。「うふ。なかなか威厳があったでしょ」と、サーシャは胸を張ります。
「まあ、特に害はなさそうですが」と真理矢が言います。

「害なんてないわよ。い、一応、この館に住まわせて貰ってるお礼なんだから」と、サーシャは言います。
 それにしても……「サーシャ、まだ前の事件のこと引きずってる?」と聞くと、サーシャは翼をびくっとさせながら、「別に?」と言ってみせます。

 前の事件というのは、まあ、サーシャが精霊用のケーキを私に食べさせたことで、私が失神状態になるといった事件があったのです。ブログを読んでいる方にはわかると思いますが。
 その際にサーシャは飛び出し、寒い玄関の隅っこでひたすら震えて涙を流していました。
 だから、私にこちらの世界では「不死」の力を与えたかったのかと。

「まあ、これで私とあなたは一蓮托生よ。私の場合、幽霊だから、消滅すると契約はなくなるけど。まあ、そういうことだからね」と言って、サーシャは紅茶のお代わりを入れてくれます。
 うーむ。吸血鬼と契約するってのは、人間と吸血鬼が共存するために必要だった契約なんでしょうか。まあ、命に関わるものでもなし、気楽にいきますか。
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コメント

サーシャちゃんにもリリーちゃんにも、ちゃんとした『本名』(?)があったのですね……。私も読んでいて驚きでしたf^_^;
『血の契約』何だか仰々しい感じにも見て取れますが、そういうのって吸血鬼と一緒に居る限りは必ずしておかないといけないものの様な気がしました……。後々、互いが互いを『大事な存在』として認識する為に。
Re: タイトルなし
昨日は、寝ていただけです。最近、体調があまりよろしくないので・・・。
これと同じく、お返事が遅れる時は、寝ていることが多いので、あまり気にしないでください。

お仕置きされちゃいましたかー。
粘土使っちゃったのが駄目だったのですね。
おっちゃんのことは、私にもよくわからないのですが。
うーん?住みたいってわけでもないんですよね?わかりません・・・。

サーシャとリリーは、愛称で呼び合っているので、そうなったらしいです。
まあ、「必ずしなきゃいけない」ということはなくて、「しておいた方が得」ぐらいの割合でしょうね。
大事な存在・・・そうなんでしょうかね。だと嬉しいのですが。

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