薔薇神様は突然に | 魔法石の庭3rd

薔薇神様は突然に

 スピリット界に潜って、周りを見渡すと、そこはベッドルーム。どうやら、スピリット界の私も寝起きは悪いようです。
 メローネの姿は既になく、「日曜日なのに仕事なんて大変だなあ」と思いました。
 まあ、妖怪退治(時には人間も退治するらしい……人間は厄介だとか)が仕事ですので、土日祝日もないに等しいんでしょう。「だが、殺すまではいっていないからな。だから、大丈夫だ」と不安げな私の頭を撫でながら言ってくれたことがあります。

「いいもーん。置いて行かれたって、私にはアイアがいるから」と、多少肝が図太くなったのか、アイアを呼び出して話し相手にさせることにしました。
「んー……かみな様、眠いですう……」と、アイアも遅起きなようで。「そろそろ起きようね?」とアイアの脇の下に手を添えて、持ち上げると、ぶんぶん振り回してみせます。

 アイアは怖がる……かと思いきや、楽しそうにケタケタ笑っています。……本当に子供だなあ。とても100歳超えてるとは思えません。

「アイア、今日は薔薇の神様の所に行こうか?」と、私は「神様、引っ張ってください」とお願いして、フォーカス100に引っ張ってもらいます。
 そして、薔薇の神様との対峙。アイアは、少し怖いのか、私の後ろに隠れています。
 
「大丈夫。神様なんだから、悪いようにはしないよ」と言って、私は薔薇に「こんにちは、遊びに来ました」というと、しゅるしゅると蔦を編んで、椅子をこしらえてくれます。
「ありがとうございます!」と腰掛けると、まだ蔦がしゅるしゅる言ってる……?と思っていると、今度はハンモック。これは……。
「アイア、寝て良いみたいだよ」と声をかけると、アイアは「へえー……さすが神様……」と言って、ハンモックに上がろうとしたものの、ぐりんと回ってしまい、思いっきり転んでいます。そうそう、ハンモックって、体勢が落ち着くまでは大変なんですよね……。乗ったことないけど、動画なんかで見ました。

「わー、なんか浮遊感ですね……雲に乗って寝てるみたい……」と、アイアが既に寝る準備に入っているところで、私は薔薇に「お久しぶりです。あなたの能力、すごく便利ですよ」というと、薔薇は恥ずかしそうに頭を掻きます。頭と言っても薔薇の花なので、その根元を掻いているような感じ?

「蔦の長さも、どんどん伸びる範囲が広がってますし……これって、信仰のたまものでしょうか?」と聞くと、薔薇はこくこくと頷いてみせます。
 ……でも、昔の土着神だったとしたら、薔薇はないよなあ?私の知覚がそう見えているだけで、違う花なのかもしれません。

 そして、私を拝むような体勢になるので、慌てて「私は信仰しなくていいです!神様の栄養分なんでしょう?」と止めさせます。薔薇は、何が悪いのかわからないような表情(花なんですけど)をしていましたが、せっかくの信仰を私のために使わせたくありません。……ただでさえ、蔦で使ってるのに。

 蔦の使い道としては、遠くの飲み物を取ってくる→便利 という、かなり不敬なことをしています。でも、すごく便利です。メローネからは「ベッドから下りて自分で取りに行け」とあきれられているのですが。

 戦闘的にも、鞭のかわりにしたり、相手を縛り上げて身動きをできなくしたり、そのまま叩きつけたりすることができます。これも便利なので、つい使ってしまいます。
 まあ、私が戦闘すると、加減がわからないので相手を殺すまでしてしまうかもしれませんね。物騒な話です。

「あなたは、これだけの力がありながら、忘れ去られたなんて信じられません」と言うと、薔薇はぱたぱたと動き回ります。
「んー?植物の神は珍しい……とか?」と聞くと、オッケーのサイン。確かに、ご神木を祀っている寺社は多いですが、木の神そのものを祀っているところは珍しいような。

 そこで、私に手のひらを出すように指示すると、ぽとぽとと何かをその上に乗せてきます。
「ラズベリー……ですか?確かに、蔦系植物ですが……ふむ」と言って、一個口に入れてみます。すると、甘酸っぱいような、甘さと酸っぱさのバランスがとてもマッチしている、美味しいラズベリーが!
「うーん、幸せ。これをタルトにしたら、すごく美味しいだろうなあ……」と言いつつ、手が止まりません。

「むにゃ……かみな様あ、私にも一個……」と、眠っているとばかり思っていたアイアが手を伸ばしてきます。その小さな手にラズベリーを握らせてあげると、むしゃむしゃと咀嚼して、「んー、酸っぱいですう……」と言ってきました。……私の知覚が間違っているのか、アイアの舌がお子様なのかはわかりません。

 よく見ると、薔薇の蔦の一部に、ポコポコと苺の花が咲いています。自家栽培だったのか……。
 考えてみると、この薔薇の神様、蔦植物全般を網羅しているようで、じゃあ苺なんかも自家栽培できて当然なわけですね。

「薔薇さんは、いつも寂しくないんですか?」と聞くと、少し肩を落としている感じがしました。……寂しいらしいです。だから、私たちにも歓迎してくれて、自分の一部であるベリーまでごちそうしてくれたんでしょうね。
「でも、あなたへの信仰は忘れていませんよ。変身もしていますし」と言うと、薔薇はぱっと顔を上げて、嬉しそうにうなずきます。

「……あなたは、変身している間の私を通して、スピリット界を見ているんですね」というと、薔薇はうんうん、とうなずきます。
「今は、変身しなくても能力が使えますが……もしかして、その間もスピリット界が見えているんですか?」と聞くと、薔薇はさらにうなずきました。そうなんだ……。サイレンでいう視界ジャックみたいな感じ?

 色々お喋りをして、さあ帰ろうか、という時に、アイアがすーすーと寝息を立てて眠ってしまっているのを見ました。
「あーあ……寝ちゃったか。どうしよう?指輪に戻すか……」と言って指輪に戻そうとすると、私の肩に蔦をかけて、一緒にのぞき込んでいた薔薇がぶんぶんと首を振ります。
「え?どうしてです?」と聞くと、なんとなく悲しげな表情に。それで、ぴんと来て、「アイアも実体化してないと寂しい……とか?」と聞くと、首を縦に振りました。

「しょうがないなあ……」と言って、私はアイアをお姫様だっこにしました。重力を調整して、軽くなるようにしています。……いくら私でも、一応女の腕ですから、小学生高学年くらいのアイアをだっこするのはきついんですよ。

 そして、私は館へと帰りました。その両手にアイアを抱えて。
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コメント

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Re: タイトルなし
優しい・・・ですか。周りから見たらそう見えるんですね。
シロガネさんの所は、あはは・・・といった感じですが。

それにしても、次は赤ですか。また新しいガイドさんが・・・?今度こそ、大人しくて優しい、友達になれる人だといいですね。ルーアンさんは強烈すぎて・・・w

ジャンヌ・ダルクの町!すごい偶然ですね。
確か、物語か曲だったかわかりませんが、「ルーアン大聖堂」というのを聞いたことがあります。杏樹さんも「天使」の名前ですし、もしかしてシロガネさん、キリスト教系なのでは?
新しく来る人も、強烈キャラだったら・・・もうサバイバルですからねえw楽しみ半分不安半分ですよね。でもきっと大丈夫ですよ。

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