リリーの婚約 | 魔法石の庭3rd

リリーの婚約

 ユフィさんの日記で、リリーが紅星石さんと結婚することがわかりました。
 しかし、サーシャにはどう伝えたらいいものか……と悩みます。正式に結婚するのは夏頃だそうですが、もう指輪も買ってあり、婚約になるとか。

 しばらく悩んだ挙げ句、そんなのどう伝えても同じだよ!と思って、シンプルに事実だけを伝えようと思いました。
 真理矢にサーシャを呼んできて貰って、私は応接室の椅子に腰掛けます。

「お前もつくづく苦労を背負い込む女だな」とメローネが壁に背を預けてたちながら言います。……なんで座らないの?この人。
「まあ、現実よりかはずっとマシだけどね。現実だったら、とっくに胃に穴開けてるよ……。そういえば、SMAPの中居くんって、台本が真っ黒になるまで書き込みして、ずっと胃潰瘍作りながら仕事してたって聞いたことある。テレビだと、おちゃらけキャラだけど、本当はすごい真面目だって、松本人志も言ってたな」と、どうでもいい中居くん情報を話します。

 やがて、真理矢に連れられてサーシャが来ました。
 サーシャは、何を言われるのかわからない様子で、「座って」と私が手振りで椅子を示すと、それだけでびくっと体を震わせます。……なかなか心の傷は消えないか。

「リリーのことなんだけど……」と話し出すと、「お姉ちゃん!?お姉ちゃんに何かあったの?」と食いついてきます。「ああ、悪いことじゃないよ。むしろおめでたいこと。リリーと、今リリーを預かってくれてる人のガイドさん……紅星石さんっていうんだけど、その子と婚約が決まったって」と、事実だけをさらっと伝えました。

 サーシャは目を見開いて、椅子から無言で立ち上がりますが、どう感情を処理したら良いのかわからない様子です。
「……そっか。お姉ちゃん、結婚するんだ……」と言って、椅子にもたれかかるように座りました。
「もちろん、リリーもあなたのことを忘れたわけじゃない。むしろ、あなたのことを紅星石さんに話しすぎて、『私と妹とどっちが大切なの!?』ってケンカになったって言うし。でも、リリーはリリーなりに考えた結果だから、サーシャからも祝福してくれると、リリーも私も嬉しい」と言って、私はサーシャの挙動を待ちます。

「お姉ちゃん……」と、呆然とつぶやきながら、サーシャは頭を抱えました。
 綺麗なストレートロングの髪がぐしゃぐしゃになるのも気にしない様子で、しばらくそのまま止まってしまいます。

「ねえ、その結婚、お姉ちゃんは幸せになれるのかな?」とサーシャが聞くので、私は「うーん。結婚っていうのは、幸せになる、とかじゃなくて、幸せになってみせる、っていうのが正しいんじゃないかな。でも、リリーなら良いお嫁さんになると思う。紅星石さん……女性なんだけど、彼女も強力な『守りの力』を持っているし。だから、きっと大丈夫だと信じたいな」と言います。

「うん……わかった。私も、お姉ちゃんの幸せを助ける」と、サーシャがようやく決意した目で私を正面から見据えます。
「良かった。リリーも喜ぶよ」と私は言って、「そうだ、今度、ユフィさんのところに一緒に行こうか。お姉ちゃんが仕えてる人がどんな人か知りたいでしょ?」と言うと、「うん!」と元気よく返事が返ってきます。サーシャはもう大丈夫そうです。

「……なんか、なんかね」とサーシャが言うので、「うん?」と聞くと、「リリーがかみなを気に入った理由がわかる気がする。かみなは、何かを話すときに、聞く人が傷つかないような言葉を選ぶでしょ?そりゃ、人間だから失敗する時もあるけど、ちゃんと優しい言葉を使う。今みたいに、言いづらいことも、先に事実を言っても、後から必ずフォローするじゃない」と言われます。
「そんな。そんなの、私の周りの人たちがそうだから、私もそうなってるだけ。もし、私の周りの人が攻撃的な言葉を使う人だったら、私もそうなってたかもしれない。……まあ、小さい頃は、毎日のようにケンカする祖父母に育てられたから、攻撃的な言葉を使うこともできるけど、そんなの、何の自慢にもならないじゃないの。相手を言い負かすことだけを考えるのって、確かに政治家とか弁護士だったらわかるけど、普通の人間だったら、生きづらくて当然だと思う。そうやって、自分自身を生きづらくさせてる人って結構いるんじゃないかな」
 私はそう言うと、首をかしげてみせます。

 サーシャは、「そう……そうね」と言って、「なんか、かみなってお母さんみたい。私のお母様とは、タイプが全然違うけど、お母さんってこんな感じなのかなって思う」と言います。
「まあ、13星座占いだったら蟹座だし。母性の星座だから、母親っぽいっていうのはあるかな。ただ、いつも子連れの感じだから、守っている人に触れられるとヒステリーを起こしやすい星座でもあるんだよねえ。あと、自分の中で『これだけは許せない』っていうラインがあって、『鶴の恩返し』に例えられることもあるね。『どんなに横柄に扱われても尽くすけど、一旦相手がラインを超えてしまったら、問答無用で別れて連絡も全て断つ』とか」と、星座あるあるを言います。
 サーシャはきょとんとしている様子。

「まあ、いつの間にか13星座って消えちゃったけど、正しく言うなら13星座なんだろうね。もっと言うと、私の生まれの獅子座はドラマチックでヒーローイズムを司るから、親分肌ってのもあるかも。ただ、こっちは父性の星座だから、父親的。時には子供みたいにわがままになって、そのわがままが通らないと、ずっとぐずってる、なんてこともあるみたいだよ。……これも、私っぽいかな」と言います。
 サーシャは、相変わらずきょとんとしています。……あれ?星座占い、わからない?

「サーシャ、あなた、占いとかだめ?」と聞くと、「だめじゃないけど、普通、自分の星座ぐらいしか覚えてないでしょ。それを、いくつも覚えてるのが不思議なのよ」と言われます。
「うーん、そうかもしれないけど、私、占い好きだから結構そういうの知っておきたいんだよね。タロットも使うし。でも、タロットは何十年ぶりに使ってるから、意味とか忘れちゃってるけど」と私は答えます。

「うん……でも、お姉ちゃんのことは、私は祝福する。結婚したって、一緒に住んでなくたって、お姉ちゃんはお姉ちゃんだもん。何も変わらないよ。お父様やお母様、それからお姉ちゃんを探して旅してた頃よりはずっとマシ」と、サーシャは言い切りました。
「そうだね。少なくとも、居場所はわかってるし。今度、紅星石さんも紹介するよ」

 そう言って、私たちは、密やかにリリーの幸せを祈るのでした。
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コメント

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Re: 13星座は・・・
んむ?13星座ってインチキだったんですか?
まあ、すぐに消えてしまって、「?」と思ったのですが・・・。
なんか、占い業界もめんどくさそうですね。特に、力のある占い師さん・・・まあ、ここでは「能力がある」ではなく「世間的に影響力のある」という意味で使いますが、そういう占い師さんが絡むと、めんどくさいことになるんですねえ。

ちょっと前には細木ブームとかもありましたし・・・まあ、細木数子自身は結構良いことも言っていたりするのですが、それを追いかけている人曰く、「細木は墓を買わせるだけのセールスマン」とのことです。
占いの業界も、色々あるんですねえ。

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