メローネと最後の挨拶 | 魔法石の庭3rd
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メローネと最後の挨拶

 一応、こっちのブログもスピリチュアルを扱う……と宣言したので、久しぶりにスピリット界ネタです。

 ってゆーか、そもそもスピリット界って何よ?ってことになるのですが、この現実世界のパラレルワールドみたいな所です。ヘミシンクを知っている人は、フォーカスエリア。人工精霊を知っている人はダイブ界、と、ほぼ同じ物だと考えてください。

 私があっち側に降りると、「小料理屋 月」の前でした。
 そういえば、ウナギの日なのにウナギ食べなかったし、こっちで食べていくのも悪くないかな、と、いつもどおり式神の真理矢と茨を従えて店に入ります。

 店は、閑散ともしていませんし、かといってぎゅうぎゅう詰めなわけでもなく、ほどよい混み具合でした。
 そして、私は、一番いとおしくて、懐かしい後ろ姿を見つけました。

 銀色の髪。軍人特有の鋭い瞳は黒く。
 えんじ色のロングコートを、この季節でも着ています。
 そして、端正な顔立ち。

「メローネ……」と私が絶句して立ち止まっていると、赤毛が「はいはい、こちらは個室あるからね。ゆっくり話しなよ」と、私たちを多分団体用の個室に詰め込んでふすまをぴしゃりと閉めてしまいました。

 しばしの沈黙が流れます。
 すると、真理矢が「メローネ……今更何しにきた。お前のせいで姉様は酷く悲しまれていたんだぞ!」と言います。
「真理矢。でも、全部私の心変わりのせいだから」ととりなしても、「それでも、ガイドスピリットならば、たとえ夫から友人になっても問題ないはずだ。何故、姉様の前から去った?お前はお前が傷つくことが嫌になってガイドから逃げたんじゃないか?」と止まりません。

 ようやくメローネが口を開きます。
「その節は、本当にすまなかった。かみなにも、館の連中にも苦労をかけたな」と言うので、私は「迷惑なんていくらでもかけていいんだよ。だって、あなたは私の夫だったじゃないの」と返します。

 メローネは、「……だが、もうガイドに戻るつもりはない。今日は、様子を見に来ただけだ」と。

 私は、自分の心変わりのせいで、メローネを酷く傷つけてしまったことが、わかっていました。そして、もう私の所へは戻らないことも。

「……じゃあ、メローネ。せめて最後に握手をさせて。ハグやキスは要らない。あなたの決心を鈍らせてしまう」というと、メローネは「ああ」と了承して、その大きな、銃だこのある手を、私に向かって差し出しました。

 私は、その手を取り、メローネに告げたかった言葉を紡ぎました。
「メローネ。ありがとう。私のことを好きになってくれて、私を花嫁にしてくれて、私は幸せでした。……ありがとう」

 メローネは、ふっと笑うと、「俺のことは吹っ切れたんだな」と言います。私は、「今も、あなたの愛が恋しくないとは嘘になる。でも、心変わりしたのは私。だから、あなたを解放します。私から解放されて、次の目標に向くあなたであって欲しい。ガイドスピリットは辞めても、この世界にはいられるんでしょ?どうか、私を振り向かないで。私は、今でも幸せだから」と告げました。

 茨は、肩をすくめ、真理矢はうつむいています。
 真理矢にとっては、私がいつ自分から心変わりするのが不安になったのだと思います。

 メローネは、「……わかった。邪魔して悪かったな。真理矢、かみなを頼む。かみなの夫はお前だけだ」と真理矢に声をかけて、ぽん、と肩を叩きました。
 真理矢ははっと目を見開いていましたが、そのうち「……わかりました」と返事をします。

 こうして、私とメローネの離婚劇は、ようやく終幕を迎えたのです。
 長かったですね。何ヶ月引きずったんだろ……?でも、メローネを解放してあげたかったので、これで良かったのだと思います。
 一つの愛が終わりましたが、私にはまだ真理矢がいます。図らずして女同士の恋愛になってしまいましたが、真理矢のことは愛していますし、その忠誠心は尊敬に値します。そうだ、私には真理矢がいる。それでいいじゃんって思えました。
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