私はここにいる | 魔法石の庭3rd

私はここにいる

「はい、真理矢、プレゼント」と、私は小さな紙袋を渡しました。

 ここは道場。一緒に練習しにきたので、ついでに真理矢に渡す物があったのです。
「ありがとうございます……?なんでしょう?」と、真理矢ががさごそと袋を開けます。すると、小さい粒状の石が並んだ髪ゴムが3つ、出てきました。

「灯星石さんから伝言があったでしょ。『髪をまとめた方が良い』って。だから、ゴムのプレゼント」というと、「そうですか……」と、なにやら腑に落ちない様子。
「?気に入らなかった?」と聞くと、慌てて「いえ、そういう訳ではなく。師匠からは、『できれば切った方が良い』とも言われたのですよね?何故、切るのを命令せずに、まとめるだけで良かったのですか?僕は、姉様から言われれば、髪ぐらい切りますけど……」というので、「あのね。その髪は、私の好みのために伸ばしてくれたんでしょ?その気持ちを受け取れないはずないじゃないの。嫌ならゴム返してもらうけど?」とあえて挑戦的に言うと、「いえ。これは僕が使います!嬉しいです!」と言って、早速ゴムを口にくわえて、髪をポニーテールにまとめ、器用にゴムでくくっていきます。

「どうでしょうか……?」とくるりと回ってみせるので、「うん、何て言うか、凜々しくなったよ。惚れ直しそう」というと、「そ、そうですか……」と、少し恥ずかしそうに言います。

 それから、それぞれ自主トレ。私の弓は、真ん中とまではいきませんが、一応板に当たるようにはなってきました。しかし、弓って結構威力あるんですね。大河ドラマなんかを観ていると、「ぷすっ」って感じの刺さり方なのですが、実際は「ドン!」という重い音がします。
 もののけ姫でしたっけ?弓矢で腕が吹っ飛ぶやつ。あれも、納得がいく威力です。

 実戦では、かなり命中精度を上げないと、的は動くので、せめて真ん中には当たるようにしたいです。
 まあ、能力を使っちゃえば、それよりいくらでも腕をごまかせるようにはなるのですが。

 そして、体が温まってきた頃に「そろそろ終わりにしましょう。お茶を入れますので、自室でお待ちください」と真理矢が声をかけてきます。
 しかし、真理矢のメイドっぷりもだいぶ板に付いてきました。最初のうちは、お茶を入れるのに、直火でカップを温めたり、ぐつぐつ煮立ったままの状態でお茶を出してきたりしたのが嘘のようです。
 現実世界でも、真理矢が欲しい……いや、現実でもそばにいるんですけど、物質に関与できるようにしてほしい。だって、私の部屋、めっちゃ汚いんですもん!そして私も家事めっちゃできないんですもん!安倍晴明みたいに、物質世界でも式神を使ってみたいです。

 部屋に戻ると、私は一人で応接間の椅子に座ります。
 そして、考えます。「私って、このスピリット界になんの理由でいるんだろう?」と。
 
 最初は、ただの好奇心でした。ヘミシンカーさんのブログに出会って、「そういう世界があるんだ!」と思って、「行ってみたい!」となったのです。
 そして、姫様と出会い、赤毛と出会い……。色んな経験を積みながらも、どんどんスピリット界にはまっていく自分がいました。

 ブログも、スピリット界一色に染まり、いつしか「石ブログ」が「スピ系ブログ」になりました。

 でも、他のスピ系ブログさんのように、「他者を思いやれるようになった」とか、「欲を捨てて悟った」ということもなく……。むしろ、どんどん欲が増えていく気がしていました。
 でも、私はそれを受け入れました。欲なんて、あってもいいんですよ。だって、世捨て人みたいに山に籠もって一人で修行している仙人じゃないんだから。私は俗世に生きる人間で、「悟り」なんか開かなくても良いし……。確かに幸せにはなりたいですけど、果たして「悟る」ことが幸せに繋がるのかと言うとそうでもないような。

 メローネと恋人になって、神様方と出会って、真理矢と出会って……。私は、欲があったからこそ、こうしてスピリット界に溶け込めたわけで、欲がまったくなかったら、そもそも館なんてなかったし、ガイドだって一人で十分、とも思ったんじゃないかと考えると、欲というのはある意味人生の指標なのではないかと思ったりもします。
 人生、欲がなきゃだめです。スピリチュアルリーダーというか、スピ系でお金を稼ぐ人になるのなら、欲はなくても良いかもしれませんが、普通に俗世にいる状態では、欲はあっていいのではないかと。

 じゃあ、私は次になにをしたいのか?
 と言われると、「それがわからんのだよ……それだけが……」と言う私もいたり。
 私は、これといった目的があってスピリット界に介入を始めたわけではありません。ただ、「やってみたらできた」ということの積み重ねで今までやってきました。

 だから、「このスピリット界での最終目標は何か?」と聞かれたら、「死ぬまでスピリット界に介入し続けることっすかねー」としか言えません。ナハハ!(鼻をほじりながら)
 とりあえず、私は一年後も生きている予定なので、一年後もこうして介入を続けられて、たまに事件に巻き込まれたりしながら、その都度やっていけたら、と思っています。
 人生なんてね、その場しのぎでやっていったら良いんですよ。何があっても、生きている時は生きているしかないですし、死ぬときがきたらしょうがないです。

 そう、人生って、「しょうがない」の連続です。赤信号に引っかかった。「しょうがない」。職場でいる場所がない。「しょうがない」。部屋から出られない。「しょうがない」。

 ね?死ぬほど脱力するでしょ?で、その「しょうがない」の後に、「じゃあ、次は何をしようか」という建設的な考えができるのです。赤信号は待てば青になりますし、職場でいる場所がないのなら「本でも読むか」ってなりますし、部屋から出られないのなら「部屋から出られないのならそれまでに知識を溜めておこう」とか思うはず。
 
 私がスピリット界にいる理由。それはまだ、わかりません。でも、何かがあって私はこちらの世界に引っ張り込まれたはず。それがわかるまでは、せいぜい悪あがきするしかないですね。
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