疑惑 | 魔法石の庭3rd

疑惑

 夜中、セルフィとお茶しました。
「なーんか、なんで真理矢があんなに修行修行言うのかわかったかも」
 そう言うと、セルフィが「へえ?なんで?」と金色の長い髪をかきあげます。

「まあ、私のために戦うっていうのもモチベーションとしてあるのはわかりますが、そのほかに、単に武道というものが面白い、って言うのもあると思います」と、私が紅茶に口を付けます。
「面白くなければ続かないわよ」と言って、セルフィが両肘を机について手を組み、そこに顎を乗せます。
「今は、メローネみたいに銃が主流の時代。なのにあんたたちはそれに逆行してる。それは、このスピリット界が現実の物理法則とは違うって気づいたからじゃないの?」

 セルフィの指摘に、私はうむむと考えます。
「確かに、現実では銃とミサイルが主流ですよ。でも、ユフィさんのところの灯星石さんの戦い方を見ていて、「なるほど、剣が銃と同等に戦えることもあるんだな」って思いました。とすると、こっちの世界で銃があまり使われないのも、銃も剣も魔法もさして強さに変わりはないんだと思いましたよ。あとは趣味で武器を選べば良いだけで、どの武器が一番強いのか、なんてことはナンセンスなんだと思います」
 そうまとめると、セルフィはくすっと笑って「そうね。ポケモンみたいなものかしら。どのポケモンを選んでも、それなりに強くすれば最終戦まで連れて行けるでしょ?確かに、元々強い個体はいるわよ。でも、愛さえあればそれを選んでもそれなりに戦えるの」とポケモンに例えてきます。

「……そういえば、灯星石さんがエッダさんみたいな人を連れてきちゃったみたいなんですけど」とガールズトークの定番、「恋バナ」にシフトすると、「え!?なにそれなにそれ」と、セルフィが食いついてきます。
「うーん……灯星石さんに横恋慕する人がいるそうで。お酒を飲んで、女性側から首にキスしただけで恋人だと思い込んじゃうタイプの人みたいで。なんか、厄介らしいですけどね」と、私は冷静に紅茶を飲みます。

「ふーん……要するに『痛い女』ってわけね。灯星石も、顔は良いからねえ。性格は、ちょっとまっすぐすぎるところあるけど。真理矢みたいに」
 と、真理矢をちらっと見るので、「ああ、灯星石さんも、真理矢の戦い方が自分に似ていると言っていましたよ」と言います。真理矢は、いつも通り、口出しもせずに黙ってお茶のお代わりを待っています。ホント、こういうところはメイドですね。

「で、灯星石よ。その女とどこまで行っちゃったの?ベッドまで?」と聞いてくるので、「そんなわけないじゃないですか。仮に酔いつぶれた女性を介抱しただけでも、灯星石さんは自分は床で寝る人だと思いますよ。ユフィさん一筋なんですから」そう言うと、「ちぇー。つまらないわね。灯星石も、どうせなら据え膳食っちゃえば良いのに」とセルフィがつまらなそうに口を尖らせるので、「ユフィさんがいて、そんなことできる人だと思います?良くも悪くもまっすぐな人ですから、それは無理という話ですよ」と私がいさめます。

「それで、その女性……マリーさんというんですけど、雇った男たちを連れてきて、危うく交戦になるところだったんですが、灯星石さんの一撃で戦意喪失して逃げていったそうですよ。まったく、へっぽこですよね」というと、「何よ。かみなだってちょっと楽しんでるでしょ?」とセルフィがにやにやしているので、「……まあ、灯星石さんに怪我させたとかいう相手なら心配もしますけどね。一撃食らっただけであっさり逃げ出すような雑魚には興味ないです」と私は真理矢に「お代わり」と言って紅茶を注いでもらいます。

「……あんたも、よく真理矢を信頼してるわよね」とセルフィが肘を付いた体勢のままで言います。
「?ええ。そりゃそうですけど……」というと、「真理矢とメローネはあんたを取り合ってるのよ?お茶に変なもの入れられてたら……とか考えない?」と言うので、「あのですねえ。真理矢が私に害をなすことをすると思いますか?それに、真理矢は式神です。主人の命令に背くことはありません」ときっぱりと言い切ります。

「……なんだか、セルフィは昼ドラみたいな展開がお好きなようですが」と言うと、「そりゃそうよ。男女同士の愛憎の争いほど面白いものはないわ。傍から見てる分にはね」とウィンクしてみせるので、「……まあ、ショッキングなことほど楽しいのは認めますけど。そうでなければ、レディコミや週刊誌が売れないことになっちゃいますし。タブロイド紙を一読したことはありますが、なんか全部『どうでもいいじゃんそんなこと』って内容で、読める内容ではありませんでしたね」と私は新しい紅茶をすすります。

「ふふ、あんたは信用してるみたいだけど、真理矢はどうなのかしら?」と、話は真理矢にまで及びます。
 急に話を向けられた真理矢は、「僕がそんな卑怯なことをするとお思いですか?」と冷たく突き放します。「だいたい、何か仕込むなら、メローネ様に仕込みますよ。姉様には仕込むことはありません」と言い切りましたが「ちょっと、メローネにも仕込まないでよ!」と私は止めておきます。

 真理矢を止めてから、「セルフィ、あんたねえ……」とあきれて言うと、セルフィは口元を隠して笑いながら、「どんなに親しい仲であっても、気をつけることは大事ってことよ」と言います。
「そんな、ぎすぎすした家庭嫌だなあ……」というと、「だから『お茶会』が必要なのよ。第三者がいないところだと、何を入れられるかわかったもんじゃないでしょ?」と再び笑います。
「真理矢はそんなに性格悪くありません!もう、セルフィ、妄想だけであれこれ言わないでよね」と言って真理矢を見ると、そっぽを向いてちょっとご機嫌斜めなようです。そりゃそうです。ありもしない疑いかけられて。

「そういうセルフィ様は、もうお茶のお代わりも、ケーキのお代わりも要らないようですね。何か混ぜてあるといけないので」と真理矢がワゴンを片付けようとすると、「あ、ごめんね。ごめん。お茶もケーキも要るから~」とセルフィがそれを止めようとします。
「あんたといい、真理矢といい、よく食べるわね。セルフィ、ケーキ3個目じゃない」と、スポンジではなく、素朴に焼いたパウンドケーキを見ると、「甘いものは何個食べても美味しいのよ」と言われます。……私は1個で胸焼けしますけどね。
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コメント

アメブロの不具合で記事書いたらぶっ飛んでしまいましたので、こちらで。

引っ越してから、私が本妻だと誰にもいっていないため、
灯星石にファンクラブがあるそうです。
マリーはまぁそのキスの話があったから、そのトップにいるそうで。
紅星石もどういう関係なのよ!と詰め寄られたそうです。

真理矢ちゃんと灯星石、やっぱり似てますよねー!
それでいて女の子な真理矢ちゃんに萌えています笑
Re: タイトルなし
ファンクラブ!それはまたすごいですね・・・。
灯星石さん、我々のように引きこもりと闇の仕事ではないですから、町の女性たちにも人気なんでしょうね。
王子様というか、やっぱり騎士っぽいですからね。
でも、ということは、ユフィさんと歩いている姿も見かけられているのでは・・・?と思うと、今まで襲撃がなかったのが不思議なくらいですね。

似てますかw
まあ、猪突猛進といったらアレですけど、初志貫徹って言えばいいのかな・・・?そんなところは似ていますね。
私といるときは剣を剣として腰にぶらさぜていたんだそうです。
いつでも私の身を守れるようにと。
それで襲撃されなかったのかなぁと思います。

近々ファンクラブ解散させにいってきます苦笑

そんな感じですね笑
あと灯星石から、髪は切るかまとめるかしたほうがいいと真理矢さんに伝えてくれと言われました。
突っ込む過程でまとめていたものがとれたら致命的だからできれば切るのをおすすめする、とかいうので、
どんな想いがあってのばしたと思ってんだこんりゃろー!と言っておきました。
Re: タイトルなし
なるほど。それで、マリーさんが今回は暴走したって感じですか。
そりゃ、剣を持った灯星石さんにわざわざ襲いかかろうなんて人はいないと思いますが。

ファンクラブ解散ですか。まあ、当人が嫌なら、仕方ないですね。

髪は、修行の際にはまとめさせます。切るのは可哀想ですから。
お気遣いありがとうございます。

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