男は断られると傷ついちゃうの | 魔法石の庭3rd

男は断られると傷ついちゃうの

 さて。
 人魚と話したあと、嵐が丘に戻ったのですが、どうしても自分の部屋の前で躊躇している私がいて。
 だって、どんな顔してメローネと会えば良いのかわからないのです。「寂しかった」とでも言えと?「一人で残されて辛かった」とか?どちらも、あまりにも自分勝手な言い分ではないですか。

 それと、まるで片思いの人と会うように、ドキドキしてしまって。恥ずかしくてたまらないのです。私は無意味に廊下をうろうろしながら「あー、うー」と意味のない言葉を発しています。そして、ついにはしゃがみ込んで、「ううう……」とうなってしまいます。恥ずかしい。部屋に戻るのが怖い。

すると、がちゃっと扉が開いて、私は思いっきり額をぶつけてしまいました。
「悪い!……ところで、お前は何をしているんだ?」と、メローネが不可解だというように聞いて来ます。

「な、なんでもない」と、私はかーっと体に熱をおびるのがわかりました。今日は寒いにもかかわらず、体がほてってしまうのです。
「……おかしなやつだな。入るなら早く入れ。今日は冷えるだろう」と言って、メローネは私を導き入れ、ドアを閉めます。

「手も、また冷えて……」と言って、大きな両手が私の手を包みます。「足も冷えているだろ。もう寝るか」と言って、メローネに連れられてベッドルームに行きます。「あ、あの、メローネ」と、私が言葉を発します。「ちょっと話さない?今日は二人の時間ってなかったし」そう言うと、メローネは「それもそうだな」と言って、ベッドに横になると、自分の右側をぽんぽんと叩きます。ここで寝ろということでしょうか。
 私がベッドに入ると、メローネは自分の足の間で私の足を挟み、温めてくれます。これをされると、すごく気持ち良く眠れるのです。

「メローネって体温高いよね……ってこれ、前も言ったっけ」と言うと、「新陳代謝が高いんだろう。よく動いているしな。それに、男は女と比べて、体温は高いものだ」と言われます。
「子供体温とか?」と聞くと「お前は……まあ、子供もよく動くと言われればその通りだな」と言ってきます。

 あまり内容のない話なのですが、私は色々と話しました。
 メローネがそこにいるという安心感からか、うつらうつらしてしまうと、「眠いのなら寝るか」と言うので、「うん……寝る」と言って私は睡眠モードに切り替えます。

 ……しばらくしたでしょうか。ごそごそと、腹から胸へと手が這い回る感覚がします。
「ん……?メローネ?」と、私は意識を取り戻したのですが、何故メローネが体を触っているのかよく理解できていません。
「何してるの……?」と聞くと、メローネは無言のまま、私の体を触ります。

 胸へ、そして別の手は下半身へ。私は、完全に覚醒して、メローネを怒鳴りつけます。
「メローネ!私の許可も得ずに何してるの!」そう言って、私はその両手から逃れ、ずりずりとベッドを後退します。
「この色情魔!眠姦好きの変態!眠ってる女に何してるつもりなの!?」
 メローネは、ぽつりと、「男の生存本能だ」と言います。「人間は、闘争の場などで生命の危機に陥ると、子孫を残そうとして色欲が出てくる」
 私は、あきれて言います。
「あんたねえ……。だからって本人の許可なく触って良い訳にはいかないでしょうが」
 メローネは多少しょんぼりとしおらしくなって、「……そうだな。俺は、前から、意識体の一部しか残っていないお前にキスしたりしていた。……それは、お前に断られるのが怖いからだ。男は、『抱かせて欲しい』と言って断られることを非常に恐れる生き物なんだ。お前たち女はそこのところ強いが」と言います。

「ま、まあ……確かに、そういう行為を「汚らわしい」とまで前に言っちゃったのは悪いけど……もしかして、気にしてたの?」と聞くと、「……それなりにな」と言ってきます。
 男女では、行為に至るまでの感じ方も違うんですね……。

「でも、そういう行為は、ちゃんと礼儀作法として、意識のある時にしてほしい。私も、メローネを感じたいし、そのまま眠姦とかは勘弁してくれないかな……」と言うと、「わかった。心がける」と一応うなずいてくれました。
「私も、エッチは嫌いじゃないけどね。そりゃ、昔は、男の人は結局は体目的だって思ってた頃もあるけど、メローネは違うでしょ?だったら、照れであんまりエッチ好きじゃないですーみたいな態度を取ってても、押せばイケるって。だから……」

 と、私は自分の胸にメローネの片手を導きました。
「……して。ちゃんと、して。あなただって、眠姦でマグロ状態の女を抱くのはあまり好きじゃないでしょ?私の成分の多くはエロでできてるから、何をされても平気。メローネ、愛してる」

 私がそう言うと、メローネはたまらないという感じで強引に口づけてきました。まるでケンカをしているような、激しいキスの合間に、私は「男って案外繊細なんだね」と思うようになったのです。

 こうして、私とメローネは、また少し仲良くなりました。
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