大好き、大好き、寂しい | 魔法石の庭3rd

大好き、大好き、寂しい

 さて、スピリット界にちょっと降りてきたんですが……。

 それには、とある事情がありました。
 まるで、お互いを意識し合うようになった頃のように、私の心はメローネでいっぱいになり、ついにはあふれ出るほどになっていたのです。

「メローネ?」と呼んだところ、返事がありません。どうやら、館にいないようなのです。
 つい最近になって、メローネが「仕事」と言って、町の人・フォーカスを超えて様々な場所の人・精霊などから、身辺警備や妖怪退治などを請け負っていたことを知りました。私は、「そんな危ないことは止めて」と言ったのですが、「大丈夫だ。俺は必ず無傷で帰ってくる」とキスをされ、うやむやのうちに流されてしまっていたのです。

「仕事……なのかな」と私はベッドにぽすんと腰掛けると、次に、いつもメローネが眠っている左側にずりずりと移動して、腹ばいになって枕を抱えました。
 樹木のような、メローネの匂いがかすかにします。嫌な匂いではありません。元々、私は田舎育ちで、草や木の匂いを覚えて生きてきました。すんすんと、私はメローネの香りをかぎ、次に胸一杯に吸い込みます。

「寂しいな……」と、私はつぶやきます。いつも一緒にいたメローネ。彼がいないというだけで、こんなにも心乱されるなんて。
「会いたいよ……」と、メローネの枕の上に、ぽたりと水滴が落ちました。私は驚いて跳ね起きましたが、それが自分の涙だと気づくと、再び枕をぎゅっと抱きしめます。
「会いたい。抱きしめてほしい。メローネ、早く帰ってきて……。怪我なんかしちゃ嫌だよ……」
 私は、そうつぶやき続けて、涙を流し続けます。彼は今、フォーカスいくつにいるのでしょうか?危険な目に遭ってないでしょうか?

 メローネの強さはわかっていますが、それでも「私も連れて行って。神獣の加護があれば私もメローネの背中を守れる」と言ったこともあります。メローネは難しい顔で首を振り、「駄目だ。お前を危険にさらすわけにはいかない」と断られ、いくら食い下がっても聞き入れてくれませんでした。

「好き。愛してるの、メローネ。どうしよう、愛してるが止まらない。ハートチャクラが暴走してるみたい。好きなの。一緒にいて欲しいの」
 私は、切なさに胸を痛めます。たった少しだけの時間、一緒にいられないだけでも、こんなに動揺するなんて。私は妻失格かもな、と思います。
 良い妻なら、笑顔で夫の帰りを待っていなくては。夫を信じていなければ。

 そう、私は忘れていました。私は、元から、家族と離れると、その人の前では涙を流さないものの、その人がいなくなるとぼろぼろ涙をこぼす子供でした。
 まさか、子供帰り?これも、レトリーバル(トラウマの克服)の一種なのでしょうか?

 やがて、がちゃりと音がして、扉が開きました。
「メローネ!帰ってきた!」と思って跳ね起きると、そこにはあの引きこもりの女教皇がいます。
「……そんなことだろうと思っていたわ。一人でこそこそ泣いたりして。それなら、可愛く『早く帰ってきてね』ぐらい言ったら良いのに」
 突然の彼女の訪問に、私は驚いて、涙が止まりました。あのクールな女教皇が、私の寂しさを感じて、来てくれた?

「そんなに私が出歩いているのがおかしいのかしら?失礼な人間ね」と言って、女教皇はベッドの反対側に腰掛けます。
「あなたは、いつもそう。一人で泣いて。まあ、幼少期は人前でも泣いていたかしら?でも、理由は絶対に言わないの。全部自分の心の中で処理してしまって、それでまた寂しさが募って。本当に面倒な女ね」
 口ではそういうものの、私を引き寄せると、抱きしめてくれます。これが、彼女なりの慰め方のようです。
「……本当は、こういうことは姫の方が適役なのだろうけど。まあ、彼女は今、手が離せないから仕方ないわね。私で我慢してちょうだい」
 そう言われると、涙が止まってしまいます。女教皇は、私の顔をのぞき込むと、「酷い顔ね。そんなんじゃ、あいつが戻ってきた時に笑われるわよ。冷やすものを持ってくるから良い子でいてね」と言って、一旦立ち去ってしまいました。私は、女教皇の態度にびっくりしてしまって、そのまま彼女が戻ってくるまで硬直してしまったのでした。
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コメント

No title
ブログお引越ししたのですね。
これからもちょくちょく見に来させていただきたいと思います~

メローネさんとのご婚約おめでとうございます!
3月11日・・・実はわたしの誕生日w

女皇帝様、いつになくお優しいですね!
かみなさんはたくさんの方にたくさん愛されていますね^^


スピリット界へはいまだ行けず・・・
ヘミシンクを聞くと早々に寝てしまう^^;
ヘミシンクが違うのでしょうか?^^;
Re: No title
いつもありがとうございます。
3月11日、お誕生日なんですね。記念日が重なって光栄です。

女教皇、いつもはクールなんですけど、館のことを一番に考えてくれる優しい子です。
愛されてますか。照れますね・・・。

ヘミシンクを聞いて寝られるのは、実は良いことらしいですよ。
私はノンヘミでずーっときてしまっているので、ヘミシンクについては残念な知識しかないのですが、確かそういったことを聞いたことがあります。
川田さんも、きっと素敵な体験が待っていますよ^^

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