2015年02月の記事 (1/3) | 魔法石の庭3rd

2015年02月の記事 (1/3)

スモーキー・トリル

 なんか、去年か一昨年買った、アゼツライトのリングをしているのですが、これ、11号より明らかに大きいよね?って感じです。
 華奢なデザインだから?なんか、リングの場合、幅が広くなると皮膚と接している面積も広がるので、摩擦が起きやすい……つまり、幅の広いリングをする時は1号大きなサイズを選ぶと良いそうです。たとえば、翡翠のくりぬきリングなんかは、ぴったりサイズだときついわけですね。

 さて、昨日の我が嵐が丘の様子を見ていきましょう。

「茨、だいたい片付きましたよ」と真理矢が応接間まで呼びに来ました。……現実の方にいないで、ずっとあっちで引っ越しの片付けしていたようです。
「ああ、サンキュー。それと、もうあんたとあたしはいわば同僚なんだから、敬語はやめてくれよ」と茨が頭をこりこり掻くと、「そういうわけにもいかないでしょう。あなたは一応鬼……古き神々の一柱ですから。僕は、姉様とも敬語ですし。ま、メローネは格下なので敬語を使う必要もありませんけどね!」とドヤ顔で真理矢が言います。……多分、ガチでケンカしたらメローネには負けると思うんですけど。

「んー。なんていうかな。慇懃無礼って言葉を知ってるか?丁寧さも度が過ぎるとかえって相手の失礼に当たるって意味なんだが」と茨が言うので、真理矢は「それぐらい知ってます」とすました顔で言ってのけます。
「……え?何?私のことも実は下に見てるってこと?」と私がちょっとショックを受けていると、「いえいえ、姉様は違いますから!本気の敬語ですから!」と真理矢が慌てるので、「何だろう?本気の敬語って何だろう?」と二人を見回します。

「……でもさ。二人とも、なんで私なんかを主に選んだわけ?私は確かに、人間だからこっちの世界ではある程度の能力はあるよ?でも、現実ではただの30歳超えたパートタイマーの障害者だよ?よくこんなのの式神になったなーって。真理矢も茨も、前から私を見てたみたいだし」
 そう言うと、真理矢は「姉様が姉様だからついていくのです!」と単純明快に答え、対して茨は「ううむ」とうなります。

「リーダーとか主ってのはね。大まかに2種類にわけることができるんだ。まず、能力が高かったり、責任感があったりで、『こいつについていけば安心だ』ってタイプだね。リーダーとか主って言葉だけだと、こういう人間を指すことが多い。しかし逆に、全然ダメだったり、能力もたいしたことないやつが主に選ばれることもある。こういうのは、大抵『こいつは私が面倒を見ないと生きていけない』っていうやつだね。いわゆるダメ男とかダメ女は、こういうタイプかな?あんたたちの世界でもあるはずだよ、友人に借金、彼女に仕事から家事まで全部やらせる、でも、何故か周りは文句を言いながらも付き合ってしまうってのがね」

 私は、「それって、私がダメ女だってこと……?」と聞くと、茨はカカカと笑って「まさにそれだね。しかし、こういう人間は、何故か優れた人間とくっつくんだよ。ダメ男は働き者の女を見つけ、ダメ女は能力の高い男を捕まえる。そういうもんなんだ。よく、『仕事も家事もできて完璧だけど、なぜか付き合う人間がダメ男ばかり』って女がいるだろ?それは、そういう風にシステムができあがってるってわけだ」

 そこで、茨は着物の懐からキセルを取り出しましたが……そこで、ふと私たちに気づいたように見えて、「ああ、あんたらはタバコはやらないんだっけ。ちなみに、この館の喫煙所はどこだい?」と聞くので、「喫煙所は特にないけど。今までタバコ吸うガイドも式神も妖怪もいなかったしね。でも、窓を開けるとか、自分の部屋なら吸ってても文句は言わないよ」と返します。

「いやいや、あたしもそろそろタバコ止めようかと思ってるんだけどね。これがなかなか……赤ん坊のおしゃぶりと同じさね。ちょっと手持ち無沙汰になるとつい一服したくなるんだよ」と言って、茨は応接間の窓を開け、慣れた手つきでキセルに刻みタバコの葉をセットすると、キセルを咥えてジッポ?っていうんですか?金属製のライターで火を付けます。
 そして、窓を開けると、気持ちよさそうに目を細めて、煙を吸い込み、吐きました。

「マッチじゃないんだね?」と聞くと、「まあね。昔なんぞは火打ち石で、これが慣れないと全然火が付かなくてね。マッチが出てきた時には本当に画期的な発明品だと思ったが、すぐにライターなんてものが出てくるとはね……しかし、便利だから使ってるんだよ」と言って、煙を吐きます。
「しかし、何故ジッポを?普通のライターでも良いでしょうに」と真理矢が言うと、「ん?ああ。こいつは、使い込むごとに味が出てくるんだよ。愛煙家の中では、傷だらけで煤けたジッポってのがまたカッコイイってもんでね。オイルさえ足してやれば、いくらでも使えるからねえ」と茨が答えます。

「へえ……まあ、私の周りの友人も、愛煙家多いけど。私は吸わないし、吸ったことないからわかんないんだけど、何となくタバコってのは嗜好品というよりも、精神安定剤代わりみたいな気はしてるよ。昔、テレビで観たことあるんだけど、ウサギにタバコの煙をかがせると、耳の血管が収縮するんだって。つまり、ストレスを感じて、血流オーバー状態になった所を、タバコが鎮めてくれるんだと思ってるけど」
 そう私が言うと、茨は「へえ。まあ、そんな知識がなくても、タバコは嗜好品で有り続けてるわけだからね。まあ、最近は愛煙家も肩身が狭くなってきてるけどね」と、最後はぽつりと空間につぶやきます。

「……けふ。茨、こっちに煙が来るんですけど」と、真理矢が少し涙目で言うと、「あんたが席を替わればいいんじゃないか。ほれ。合法的にかみなの近くに行けるチャンスを作ってやるなんて、あたしは優しい鬼だねえ」と返すので、「じゃあ今までは違法だったんですか!というか、あんたまたケンカ売りたくなってるでしょ!」と、こいつらいつもケンカしてんな。という感じになります。

「じゃあさ、茨は、『脱法ドラッグ』なんてのはどう思う?それと、今は日本は禁止されてるけど、外国の一部では解禁されてる大麻とか」と聞いてみると、「あたしに言わせりゃ、どれも自己責任の範囲内なら別に何やったっていいさ。でもまあ、変な混ぜ物されてて車で人間を轢くとか、そういうのは……ねえ。それこそ、さだまさしの『償い』の世界だね。泣きながら土下座して、それでも許してもらえないのは当たり前。被害者の家族にせっせと毎月仕送りして、それで何年も経って、やっと許される……わけでもないが、家族から返信がもらえる。それぐらいの罪なんだよ、人を殺すってのは。だから、他人に危害を加えないのなら何やっても良い。だが、その反動も考えて使いたければ使えば良いさ、って感じだね」と言って、茨はタバコを吸い終わったのか、側にあるゴミ箱に灰を捨てました。

「ふーん。そういえば私も昔は、市販薬や処方薬のOD(オーバードーズ。薬の決められた量以上を服用すること)したりもしたけど。でも、どっちかというとラリパッパになれるのは、1~2日寝ないで何かしてて、ようやく寝付けたらすっごいサイケデリックな夢見るけどね。その後、吐き気もすごいけど。これって脳内麻薬なのかねえ」と、私は考えながら言いました。

 ま、嗜好品はたしなむ程度に、です。
にほんブログ村 哲学・思想ブログ スピリチュアル・精神世界へ
にほんブログ村
スポンサーサイト

スピリット界での肉欲

 メローネの所に、式神3人娘でおしかけました。

「……おい。なんでかみな一人じゃないんだ?」と言うので、「いや、茨との顔合わせの意味があったんだけど、真理矢もついてくるって聞かなくて」と私は困ったように言います。
「ふふん。僕があなたたちを大人しく2人きりにするはずないじゃないですか」と真理矢が何故か偉そうなので、「いや、茨もいるからね?」と一応弱く言っておきます。

 ちなみに、今の格好は、真理矢が長い金髪をポニーテールにしていて、茨は後ろ髪を三つ編みにしています。
 服装は……すみません、ファッションには疎いもので、「こういうの!」とは言えません。何でしょうね?真理矢は何故か執事のような男装をしていて、茨は藤色の蝶が舞っている着物を着崩しています。でも、それがみっともなくないのです。計算された着崩し方というか、茨が好きな言葉で言うと「粋」ですね。

「まあいい。大人数の方が何かと便利だからな」とメローネがメンテをしてた銃を置きます。
「それってどういうこと?」と聞くと、「まあ、後で教えてやる」と言って、茨に向き直ると、「顔を合わせるのは2度目か。鬼は銃弾を直撃しても肌に傷一つつかないというが……試してみたいものだな」とさっそく好戦的なことを言い出しますよ。
「ふん。他の人間や妖怪が弱いだけさ。でも、あんたはずいぶん腕が立つみたいだね。あたしも一度は手合わせをお願いしたいところだね」と、茨もやる気です。

「……あんたたち、身内で争うのは止めてくれない?」と言うと、「いや、平気だよ。ただの手合わせだからね。別に争っているわけじゃないさ」と言われます。

「さて。あたしたちはここで退散しようか」と、茨がニヤっと笑って、真理矢を荷物のように抱え上げます。
「ちょ……下ろしてくださいよ!僕はまだ何も……」と真理矢が言うのですが、茨は「後はお二人でしっぽりとね」とそのままドアを開けて真理矢を運んでいってしまいます。

「……あー。メローネ、久しぶり」というと、「まあ、お前は茨がこの館になじむまであいつの好きにさせてやってるんだろ。以前の俺なら、確かに嫉妬の一つもしたかもしれない。だが、今は違う。……これでも、結婚の期限が迫っていて、なかなか浮き足立っているんだからな」と言われ、「あ……そうだよな。結婚……なんだよな」と思わされます。

「……俺が、どうしてお前を避けていたかわかるか?」と言われるので、私はきょとんとして「え?私、避けられてたの?」と答えます。
 確かに、最近のメローネは寝室に行ってもいないときが多かったので、「仕事かな?」と思っていたのですが。

「それに、最近、体に触れてもいない。わかるか?この意味が」と言われ、私はない頭をフル活動させます。
「……私に飽きた、とか」と言うと、メローネはため息をついて、「考えた結果がそれだとしたら、お前はまだ鬱思考から抜け出せてないぞ?」と頭にぽん、と手のひらを乗せられます。

 そして、ぐるぐると頭を撫でてるんだか髪を乱しているんだかわからない動きをするので、「ちょっと、髪が乱れるでしょ!」と言って手を放させます。
 すると、メローネはその手を取った私の手を掴んで、まるで懺悔するかのように語り始めます。

「俺は、お前を以前のように、ただ恋しい相手とは見られなくなった。そこには肉欲も絡んできている。お前が見せる、ふとした仕草……たとえば、料理を食べているときは、その料理が俺の一部だったらと思うことがある。それから、読書をしているときの、ストイックな色気というのも捨てがたい。眠っているときの無防備な顔にも欲情する。……俺は、大して我慢強い男じゃない。だから、お前から距離を置いた。お前が俺に架した呪いの一部である、『結婚するまでは綺麗な体で』という約束が守れそうになかったからだ」

 それは、ほとんど懺悔そのものでした。私は、「……」と黙ってしまいます。
 私はシスターでもなければ、神父でもない。ただ、黙って話を聞くことしかできませんでした。

「キスをしなくなったのも、体にふれなくなったのも、約束が守れないからだ。今の状態だと、そのまま強引にコトを進めてしまいそうで恐ろしかった。お前に、嫌われるのが恐ろしかった。何よりも」

 そう、メローネは言って、私の手を取ると、手の甲に口づけします。

「今は、これで精一杯だ。愚かな男と言われても良い。……頼む。そんな穢れた目で見ていた俺のことを、一言でいい、『許す』と言ってくれ。そうすれば、俺は……」と言いつのるので、私は「そんなこと。筒井康隆の小説で、『七瀬ふたたび』っていうのがあるんだけど、テレパスの女性が男性の心を読んだとき、必ず男性はその女性を裸にして、妄想に浸るんだよね。だから、まあ、男性ってそういうもんなんじゃないの?それに……」とちょっと口ごもって、私は。

「メローネに、一人の女として見られてたのは、嬉しい。逆に、ストイックすぎても、私は不安だったと思う。それは、両思いだからなんだよね。私を女として見てくれてありがとう、メローネ」
 と、私はにへっと笑います。……だって、今まで出会ってきた男性たちは、自分の主張を無理矢理通そうとするか、下心全開で私の気持ちなんて全然関係ないという、ダメ男ばかりでしたから。
 ちゃんと、好き同士でするなら、セクロスも怖くありません。

「……そうか」と、メローネはふと、頬を緩めます。
「元々、セクロスってのは、確かに子作りの手段だったかもしれない。でも、今は違うんだよ。恋人同士のコミュニケーションでもあり、お互いの気持ちを確かめ合う行為でもある。……でも、まだ私は怖いから、来月の11日まで待って欲しい。それまでに気持ちを作っておくから」
 そう言うと、メローネは「ああ。初めてだからな」と何でもないように言うので、「あんたはちょっとデリカシーを持って!」と軽くしばき倒しました。
にほんブログ村 哲学・思想ブログ スピリチュアル・精神世界へ
にほんブログ村

片付けられない女たち

 応接間から、もう1カ所、部屋の出入り口を作りました。
 建築技術?知識?そんなものはない!

 で、そこから茨の部屋を作ってあげましたよ。
 真理矢は、「僕の時はずっと客室でしたのに……」とぶつぶつ言っていましたが。ごめんね、真理矢。

「えーと、一応空間は作ったけど、家具とかは自分で……」というと、「ああ、上等だよ。注文を付けるとしたら、下はフローリングじゃなくて畳がいいねえ。やっぱり、昔からなじんでるもんだからね」と言われ、床を畳にしてあげました。

 で、茨は自分で山から家具を持ってきて、色々ごそごそやっていたようです。しかし、ちらっと様子を見に行ったら、「ああ、かみな。見てくれよ、この漫画。中盤からが最高に面白くて……」というので、「待て。そのルートは非常に危険だ」と言って漫画を取り上げます。
「ああ、まだ途中までしか読んでないのに!」と言うので、「片付けが先でしょ。何、『部屋の片付けしようとしたら、昔の本が出てきてそれに夢中になって結局終わらない』みたいなルート辿ってんの」と言うと、「別にいいじゃないか。特に期限があるわけでもなし。こういうのはのんびりやればいいんだよ」とへりくつをこねます。

「はあ……まあ、私もずぼらなのはわかるけどね。でも、汚くするのは自分の部屋だけで防いどいてよね。ウォール・イバラで止めといてよね」と言うと、「あたしだって共有のスペースではちゃんとするよ」と言って茨は胸を張ります。

 すると、真理矢がひょこっと顔を出して、「まあ!」とすっとんきょうな声を上げます。

「ああもう、漫画本はちゃんと巻数をそろえて。ちょっと、床の上にゴミを置かない!ああもう、これ、僕が全部整頓していいですか?」と問うと、茨は「お。マジで?いや、あたしもめんどくさいと思ってたんだよ。全部やってくれると嬉しいね」と、思いっきりのんきなことを言います。
「本当に、僕の好きなように家具も置いちゃって良いんですか?」と真理矢が言うので、「好きにしてくれ。あたしは別に気にしないよ」と言って「さて、茶でも貰うかね」と、応接間にやってきます。……ホント、自由だな、あんた……。

 その時、コンコン、と扉がノックされ、サーシャがお茶を運んできました。
「あら?一人足りないわね」というので、「ああ、真理矢は茨の部屋の片付け。真理矢の分のお茶はまた後で良いよ」というと、「現実でもかみなの部屋を片付けて貰えばいいんだけどねえ」と茨が口を出します。
「うるさい。整然とした部屋ってなんか落ち着かないんだよ。ホテルなんかも、あんまり広い部屋だと所在ない感じするし」と一応反論すると、「ああ、わかるような気がするね。要するに、『マーキング』されてないと嫌なわけだ。人間も動物とそう変わらないね」というので、「……言っておくけど、私が一般的な30代の女性じゃないからね?普通の女性はもっと綺麗にしてるからね?」と諭しておきます。

「片付けねえ……私も苦手かな」とサーシャが言います。
「え?サーシャの部屋、綺麗じゃん」というと、「必要な物しか置いてないからよ。……でも、確かに自分の部屋!って感じの『マーキング』はしたい気がするわ。あと、自分の所定位置から腕を伸ばして届く範囲にしか物を置きたくないっていうか」と意外なことを言います。

「うーん。確かに、私もベッドから出ない位置に生活する全てがあって欲しいけど」というと、「ね?それと、物を捨てられないのもあるわね。私はわざと最低限しか物を置かないようにしてあるけど」とサーシャが言います。
 あー……すごくわかる。梱包材のプチプチとか、おまけでもらったジュエリーケースとか捨てられないんだよねえ。

「ふふ、あたしたち、『片付けられない女同盟』でも結ぼうか?」と茨が言うので、「そんなの作ってどう活用するのよ。『正しい部屋の散らかし方』とか?」と聞くと、「『部屋が汚いあるある』とかもいいね。『服は、服塚から季節が変わるごとに下から取っていく』とかね」とか言い出します。やめて、それ私だから。そりゃ、着る前に洗濯はするけど。

「そういえば、あんたの部屋も散らかってないね?やっぱり真理矢が?」と茨が紅茶をずずっと飲み干すと、私は「いや、メローネも片付けてくれる。メローネ、元軍人だから、部屋の管理もぴしっとしてないと嫌みたいでね」と答えます。
「ははーん。あれだろ?あんたの脱ぎ散らかした服も全部畳んでくれるタイプだろ?」と言われ、「まあね。てか、髪の毛も拾ってくれる」と言います。
「……いや、それ、あんた嫌じゃないの?」とサーシャが若干引き気味に言うので、「さすがにその姿見ると、私も反省したけどね」と、カップの紅茶を揺らします。

「ふーん。あたしは別に、誰が何触ろうが平気だけどね。真理矢がこれから片付けてくれるならそれも良いし」と茨が言うので、「初めて見解が分かれたわけだけど。私が思うに、『部屋の汚い人』ってのは、2種類いると見たね。1番目は『ただ単に片付けられない人』。これは茨だね。本当に片付けられないだけだから、部屋を他人に預けちゃっても平気なタイプ。2番目は、『マーキングしている人』。これは、私とサーシャかな?その空間を『自分のもの!』ってしたいから、勝手に片付けられたりすると嫌なタイプかもね」とまとめてみます。

「ふーん。確かに私、部屋は汚くても人に片付けられたり、『片付けろ』と言われたりすると嫌だな。それは、マーキングだからなのね?」とサーシャが納得したように言います。
「もちろん、他にも細部それぞれ違って良いんだけど、私が見てきた場合、大まかに言うとこの2種類に分類される気がするんだよね」と私が一席ぶると、「はは、あたしは確かに、前者だね。今だって、真理矢に全部任せてるし」と茨が愉快そうに笑います。

「い、茨!」と、茨の開いた扉から、真理矢の声がします。
「呼んでるよ」「呼んでるわね」「あんたたち、面白がってるだろ?」と、3人でそんなやりとりをして、茨が仕方なさそうに立ち上がります。
「何だい?あたしは別にどこに何置こうが平気……」「こ、この破廉恥な本はどうするんですか!」「……あ?ああ、エロ本か。いやいや、あたしもまだ現役だからね。で、何が問題なんだ?エロ本なんてのは、布団の下に隠すか、机の上にでもきちんと並べて置いておくのが主流だが」「そんな主流知りませんよ!嫌ああ、触りたくない!これはあなたが片付けてください!」

 ……そんなやりとりをしているので、「……エロ媒体なんて、ネットでいくらでも見れるのにね」「多分、茨のやつ、パソコンの使い方知らないよ。てか、サーシャはそういうの見ちゃだめな年齢でしょ」「失礼な。私はこれでも100は超えてる年齢なんだから、20歳以上の幼女です!」「それにしては中身もお子様……」「あんた、火あぶりにしてやろうか?」と、私とサーシャでのほほんと会話します。
 幼女だけど20歳以上。それって、合法ロリってやつですかね?
にほんブログ村 哲学・思想ブログ スピリチュアル・精神世界へ
にほんブログ村

トラブルを背負えるトラブルメイカー

 スピリット界に降りたら、真理矢と茨が殴り合っているところでした。
 ……そのまましばらく二人は止まって、私もぼーっとそれを見ていると、二人はそそくさと離れます。

「……何やってんのあんたらは」とため息をつくと、「だって茨が……」と真理矢は言い訳をして、茨は「いや、さすが龍だね。なかなか力があるじゃないか」と楽しそうです。
 右と左でごちゃごちゃ言い合うので(茨は真理矢を挑発するような言い方でしたが)、「ああもう、じゃあ好きなだけ殴り合いなさいよ。私は見てるから」と言ってどっかと応接間の椅子に腰掛けます。

「……」と二人が大人しくなるので、「何?やらないの?」と言うと、「いやあ……人に見られてるとあんまり気が乗らないっていうか……」と茨が頭を掻き、真理矢は「姉様にお見苦しいところをお見せして、すみません」と謝ります。

「ん。じゃあ、仲直りにアルテミス行こう。茨も、うちのガイドたちと話してみたいだろうからね」と言って、私は玄関の方に歩き出します。「……」と背後で真理矢と茨が気まずそうにしているので、「ほら、行くよ。あんたたち式神なんだから私を守ってくれるんでしょ?」と言って促しました。

 アルテミスに着くと、接客していた赤毛が「げっ」と嫌そうに片眉を上げます。
「げって何だよ、げって。麗しい乙女が3人も来てあげたのに。赤毛好きでしょ?乙女」と言うと、「あのねえ、私が好きなのはもっと可愛らしくて守ってあげたい子と、クールで頼りがいのある子の2人もいればそれで幸せ」と言うので、「じゃあ、それを2つとも兼ねそろえた私はさぞ欲しいだろうね。ほれ。乳触るか?」とわざと胸を寄せてみると、「……かみなの乳は要らない」と失礼なことをほざきやがります。

 そして、「今接客してるから、かみなたちはあっちの奥のソファーにいてよ。……騒がないでよね?」と言ってさっさと接客している女の子たちの方へと行ってしまいます。ホント、失礼なやつだな。

 ソファー席に移動すると、私たちは「はあ~」とぐだってしまいました。
「……ここのソファ-、ホント座り心地良いなあ。安いソファーってビニール張りだから肌心地が悪いんだよね。あーあ、こういう高級ソファーが現実でも欲しい……ついでに広くてエアコン完備でネット環境が抜群に良い部屋が欲しい」と、無茶ぶりを仕掛けます。

「ドリンクをお伺いします……あら、かみな」と、姫様がやってきました。今日は、着物ではなく何故かウェイトレス姿です。
「ふうん……」と、茨は姫様を下から上へと見上げると、唐突に、すごく唐突にわしっと姫様の胸を掴みました。

「きゃあ!」と、姫様が悲鳴を上げたので、赤毛が「ど、どうしたの姫!?」と慌てていますが、「な、なんでもありません」と姫様は気丈にも持ち直して、胸を持っていたお盆で隠して茨から一歩離れました。

「ふーん、偽胸じゃないんだ。あんた、なかなかいいもの持ってるじゃないか」と茨はニヤリと笑って言います。
「……茨、触った手を出して」と私は静かに言って、左腕をこっちに差し出した茨の手を思いっきりばちーんと叩きました。
「この馬鹿鬼!いくら同性だからっていきなり人のガイドの胸触る馬鹿がどこにいるんだよ!」と叱ると、「いてて……あんた、こっちの世界ではあたしの力を分けてるんだから、ちょっとは手加減して叩いてくれよ」と茨が全然懲りてないので、「姫様、すみませんでした。この通り、この馬鹿にも謝らせるので」と、茨の頭をぐいぐい押して私自身もぺこぺこすると、「……ええと。別に、触られたぐらいでそんなに騒ぎませんよ?酒場の女なんですから」と姫様はようやく困ったように微笑みました。

「まったく……で、注文は?」と聞くと、ぽかーんとそのやりとりを見ていた真理矢が「え、ええと、僕はベルギービールで」と言うので、「ほら、茨も」とせっつくと、「ホントまだ手のひらがじんじんしてるよ……さて、酒か。あたしは酒ならなんでもいいよ。この酒場お勧めの一杯を持ってきてくれ」と言います。「あんたは少しは反省しろ。私はモーツァルトミルクお願いします」というと、姫様は「は、はい」とまだ怯えた様子で、ぱたぱたと厨房へと戻ってしまいました。

「……茨、あんた多分姫様の好感度かなり下がったよ。ってかマイナスだよ」というと、「そんなにたいしたことはしてないじゃないか……酒場の女ってのは胸や尻の一つも触られないとな」と言うので、「ここはバー!大人の恋の駆け引きを楽しむのは良いけど、いきなり肉欲から入るのは粋じゃないってもんだよ」と私は言い返します。

「……へ?あたしが、粋じゃない……?」と茨が言うので、「そう。あんたの所は酒屋だったかもしれないけどね、バーってものはいきなり胸掴んだりするのははっきり言ってつまみ出されても文句は言えないんだからね。てか、姫様、多分今の姿だと処女だから泣いてるよ?」とわざと誇張して言うと、「そ、そうかい……」と茨は妙にしゅんとします。

「……そろそろ僕にも謝って欲しいのですが」と真理矢が何故か上から目線で言うので、「ああ。悪かったね。あたしはどうも、ケンカ相手がいないとつまらんもんでね。ケンカを仕掛ける時は本気で言ってるわけじゃないんだよ。……悪かった」と、素直に謝ります。
「い、意外と素直に謝るんですね」と真理矢がびっくりしていると、「あたしは、あたしが悪いと思ったら率直に謝るのが流儀だと思ってるよ。そうするのが結局のところメンツやプライドなんかを優先するよりも、ずっと合理的じゃないか?あたしは合理的なのを好むんだ」と言います。

 やがて、姫様がおそるおそる酒を運んでくると、茨は「姫と言ったか」と声を掛けます。びくっと体を縮める姫様ですが、「ごめんな。あたしが悪かったよ。あたしは、どうもデリカシーってものに疎くてね……。本当に悪い」とちゃんと自分で謝りました。
「い、いいえ……その、私も少し大げさすぎでした」と姫様が言うので、茨はにっと笑って「そっか」と言います。

 ……茨のやつ、トラブルメイカーでもあるけど、そのトラブルの責任をちゃんと背負える人間……いや、鬼なんだなあと思います。やっぱ、姉御肌っていうか。つかみ所もないですけどね。

「あの、私、洋食にも手を出してみたんですけど、良かったらどうぞ」と言って、姫様は3人分のビーフシチューを並べてくれます。
「ありがとうございます、姫様」と私が言うと、真理矢は無言でもくもく食べ始め、茨も猛烈な勢いでシチューを攻略しています。
「ちょっとあんたたち、感想ぐらい言いなさいよね」と私が言うと、真理矢は「姫様の料理が不味いわけはないでしょう」と言って、茨は「うん、美味い!あたしはずっと辺境の村暮らしだったから、洋食ってものには縁がなかったが、これは毎日来たくなるね!」とそれぞれ言うので、姫様もぱっと嬉しそうな顔になり、私もそんな姫様を見て、幸せになったのでした。
にほんブログ村 哲学・思想ブログ スピリチュアル・精神世界へ
にほんブログ村

真理矢と茨は友人未満他人以上

 ちょっとのつもりでスピリット界に降りたら、茨が先に来ていて、「ああ、ちょうど良かった。髪を結ってくれないか?」と新設した応接間のドレッサーの椅子に座ってくるりとこっちに背を向けます。

「……姉様、私が結びましょう」と真理矢が言うと、「あー、誰でも良い。結んでくれ」とどうでもいいように答えます。
「しかし、髪を結うといっても、色々あるでしょう。単に結べれば何でも良いなら、あなたに一番似合わない髪型にしてあげますが」と真理矢が黒いことを言うのですが、茨はのんきに「じゃあ、三つ編みで頼むよ。……で、あんまりきっちり結わないでくれ。最近流行の『ゆるふわ』ってやつだね。あ、三つ編みは分けないで一本で頼むよ」と、合っているのか間違っているのかよくわからない頼み方をします。

「……鬼のくせに注文が多いんですね」と真理矢が茨の髪を手に取ると、「あたしだって女だよ?ほら、美容の云々も気をつけないとね」とか。
「うーん、確かに気持ちはわかるけど……まあ、仕事に髪に櫛を通しただけで行く私が言ってもしょうがないか」と私はちょっと「女子力」というものにアンテナ立てないとな……とも思います。

 真理矢は器用に髪を編みながら、「しかし、茨の髪型はよくわかりませんね。もみあげからサイドまでは短くて、正面から見るとボブヘアーなのに、後ろ髪は長いって……後ろだけ長い……あっ(察し」とか言います。
「いや、あたしはヤンキーの子供じゃないからね?そんなに長いところが少なくないし」と、茨がどうでも良い情報を持ってきます。

「はい、できました」と真理矢が仕上げに茨の頭にぽんと手を乗せると、「おお、ありがとう。どうだい?少しは身だしなみに気を遣ってるように見えるだろ?」と茨はご機嫌です。
「……本当は、単に髪が邪魔になったんでしょ?」と言うと、「そ、そんなことあるわけないじゃないですかあ~」と、思いっきり取り乱します。図星だな。

「……しかし、茨、あなた服装にもちゃんと気を遣わないと。上から見ると、胸が見えそうですよ」と真理矢が冷静に指摘しますが、「あたしの胸なんて、見て活力が沸くならいくらでも見るが良いよ」とカカカと笑います。
「ちなみに、下着は?」と聞くと、「付けてるよ?下から支えるやつ。さすがにブラジャーしないと胸が垂れるからね」と胸を張ります。……茨が胸を張ると、おっぱいが……その、強調されて。

「でも、ブラジャーを付けると逆に胸が垂れるとも言いますが」と真理矢がツッコむと、「おや?おや?真理矢ちゃんはもしかしてノーブラ派かい?なかなか大胆だね」と茨がニヤニヤします。
「ノーブラってわけでもありませんが……一応ちゃんと付けてます。ただ、寝る前はブラジャーは外した方が良いというのは知っています」と真理矢が反論しますが、「あたしたち式神って眠るのか?」と言われ、「確かに……」とちょっと声を落とします。

「何?式神って寝ないの?」と聞くと、「まあね。一応あたしらは、主であるあんたを常に守り、時には慰めになる存在だよ。寝てる暇なんてないね。可能なら、夢の中でも登場するし」と、茨が言います。
「……そういえば、メローネはあんまり夢に出てきてくれないけど、真理矢は出てきてくれるね。あれって、寝てないからだったんだ……」と言うと、「その通り」と茨が言います。

「でもまあ、これからは式神が2体だろ?だから、交互に休んだりもできるけどね」とのこと。
「じゃあ、私、今まで真理矢に無理させてたってこと?」と言うと、真理矢が即座に「それは違います」と否定します。
「式神になったのは、僕の意志でもあります。24時間ずーっと起きていても、僕は苦痛には思いません」ときっぱりと宣言するものの、「はっ、無理しちゃって」と茨が茶々を入れます。

「無理なんかしてません。茨こそ、どうなんですか?あなた、自由に行動してるだけじゃないですか」と真理矢が反撃に出ると、「でも、かみなの側は離れないだろ?式神としてはちゃんと仕事してるじゃないか」と言うと、「それでもあんたは自由すぎるんだよ」と私も応戦します。

「なんだい?ずいぶんと二人とも突っかかってくるじゃないか。あたしは、最低限の式神の仕事をしてるだけさね。仕事が終われば、あとは自由だろ?真理矢みたいにサービス残業しない派閥なんだよ」と「わかってないな」というふうにオーバーアクションで両手のひらを上に向けます。

「……なんか、メローネが『厄介だぞ』って言ってた意味がわかった。茨、あんたは確かに頭がよく回るよ」とため息をつくと、「メローネって、あの背の高い銀髪の男かい?確かあんたの婚約者だったね」というので、すかさず真理矢が「僕も婚約者ですけどね」と釘を刺します。

「わかった。わかったよ。茨は自由にしてれば?真理矢がきちっとしてる分、茨との相性は悪くないと思うし」というと、真理矢が「どこがですか!」とえらい剣幕で詰め寄ります。
「……でも、真理矢は別に茨のこと嫌いじゃないでしょ?きっと、心を許せる盟友になれると思うんだよね。一杯ケンカしなさい。ケンカするほど、相手の本音がわかってくる。現実じゃ、それで別れるなんてことにもなるけど、スピリット界はある意味楽園だよ。ケンカしても仲直りできる。引力と斥力の関係だよ」と私は諭します。

「ふうん。要するに、あんたはこう言いたいわけだ。真理矢があたしとケンカするときは、斥力が働いている。でも、さっきみたいに髪を結ってくれたりするときは、引力が関係しているわけだ。心は科学で解明できる。そういうことだね」
 茨がそうまとめると、猪突猛進の真理矢は「はあ……」と、いきなり科学に進路を変えられて、戸惑っているようです。

「うん。でも、なんとなくあんたたちも、ちゃんと友人になれる気がするんだ。だから、出会いをふいにしてはいけないよ。真理矢も友人の一人や二人欲しいでしょ?」というと、「まあ……たまに、式神とか全てを超えて友人ができたらとも思わなくもないです」と言うので、私はうんうんとうなずきました。

「真理矢。真面目すぎるあなたと、適当すぎる茨は、きっと道が交わる。その時を大事にしなさい」と、私は、珍しく主っぽいことを言います。
 ……これでケンカしても仲直りできたらいいんですけどね。
にほんブログ村 哲学・思想ブログ スピリチュアル・精神世界へ
にほんブログ村

茨と、館の皆

 そういえば……と、私はスピリット界に降りて、式神の2人に「あんたたちを連れて、しかもガイドも連れてお出かけする場合、自然と大人数になっちゃうよね。それって先方にとってもあんまりありがたくないんじゃないの?」と聞いてみると、茨が「何、あたしらのどっちかが引っ込めば済むことだね」と言います。
「引っ込む?」と聞き返すと、「うん。主の体の中に入るというかね。そうすれば、式神は一人だろう。感覚は共有しているから、後で教えてやらないといけないということもない。どうだ?あたしたち便利だろ?」と何故か自慢げです。

「ね、姉様の体の中に僕が……」と真理矢が変な妄想をしているので、「ちょっと真理矢、あんたまでこの馬鹿鬼にあてられないでよ」と一応言っておきます。
「馬鹿鬼か。いいね。妙齢の女に蔑まれるというのは、なんというか、倒錯的だね」と茨が言うので、「ほら、茨が真似する!」と言います。

「しかし、茨は『馬鹿は大好きだ』って言ってたけど、馬鹿にも色々あるじゃない?今だとtwitterとかに余計なこと書いて炎上するとかさ。そういう馬鹿も好きなわけ?」と聞くと、「んー……確かに、馬鹿にも色々いるね。あたしは、強いて言うなら『無害の馬鹿』が好きなんだな。あたしとしては、別に未成年が酒飲んだってタバコ吸ってたって、PCで『割れ』使ってたって個人のことだから構わないと思うよ。でもね、それで誰かに害が行くのなら、話は別だね。要は、『馬鹿はいいが、誰にも害のないように』ってことさね」とか。

「……あ。この館の皆にあんたを紹介しなくちゃ。ちょうど晩ご飯の時間だし……真理矢、皆集まってるか見てきて」と指示出すと、廊下を茨と二人で歩いて食堂に向かいます。
 しかし、その途中で、茨が私をちらっちらっと見ているのがわかりました。
「……何?言いたいことあるなら何か言ってよ」というと、「いや、なんでもない。あたしが勝手にやってることだからね」と頬を掻きます。
 そこで、気づきました。茨は、私にスピードを合わせているのです。……思春期カップルの初デートか!みたいな。

 そこで、真理矢が戻ってきて、「皆さんそろっていますよ」と教えてくれました。
 
 食堂に入ると、一斉にこっちに視線が向けられます。
 しかし、茨は慣れたように「おお、結構いるね。遠くから見ても大きな館だと思ってたが、人もいるもんだね」と言ってのけます。ほんと、強心臓なんだから……。

「ええと、この鬼は、茨っていって、私の新しい式神です。力仕事なんかを頼む時はこの茨に頼むといいかも。割と姉御肌だから、頼ってあげると喜ぶよ」と紹介すると、茨が「どうもどうも」と頭をサラリーマンみたいにぺこぺこ下げます。
「何だろう?私、すごく茨に親近感覚えるんだけど」と赤毛が言うので、「赤毛」「ん?」「爆発しろ」「酷い!」といつもの一連のやりとりをします。

「ふ~ん……あなた、茨って言うのね」と、空いている席についたところ、セルフィが絡んできました。まずいですよ!
「茨って言えば、茨……」「おっと、手が滑った!」と、私がセルフィの口に、デザートのケーキを突っ込みます。
 セルフィはむぐむぐ言っていますが、どうやら口に物が入っているので喋れない様子です。

「セルフィ、そういうのはデリケートな問題だから……」と、しーっと指を唇に当てると、セルフィはきょとんとこっちを見ています。……わかってるのか?
「あはは、それぐらいであたしは怒ったりしないよ!」と茨が笑います。「鬼は頑丈なんだ。体も心もね。だから、遠慮なく色々言ってくれよ。……まあ、それで悪いところを直すかどうかは疑問だけどね!」と言うので、「いや、悪いところは直さなきゃダメだろ……」とツッコミます。

 ふと、メローネの方を見やると、「ほら、厄介だ」という風に苦い顔をしています。……なるほど、厄介ですね。茨は一緒にいて色々と飽きませんけど。

「ふうん?じゃあ、本当に鬼のパンツは虎柄なのか聞いてみようじゃない?」とセルフィが言うと、茨(ちなみに、いつもは胸の空いた着物姿。おっぱいおっぱいです)は「んなこたない。今日は流行の縞々だよ」と答えます。「んなこと答えなくてもいいっちゅーねん!」と頭を軽く叩くと、「何でだ?今流行ってるんだろ?縞パンっていうのがさ。あたしも今日は下着も一張羅で……」と言いかけるので、「だから言わなくていいっての!」と再び叩きます。

「……ぷっ、あはは、鬼って面白いのね」とセルフィが笑い出します。
「正直、かみなが『鬼の式神を貰った』と聞いた時には、どんなムキムキな鬼が来るのかと思ったわ。なのに、この細腕の女の姿でしょ?しかも美人だし。でも、話してみるとやっぱり鬼なのね。多少デリカシーはないけど、まあ、鬼ってそういうものだし」と、セルフィはケーキを食べ終えると、紅茶に手を付けました。

「……おや?あたしに茶を入れてくれた子供もいるんだね?あれはメイドかい?」と茨が言うので、「あれは、まあ、うちに住みついてる吸血鬼……の幽霊。一応、客なんだけど、お茶係になってるね。まあ、うちの家族の一人だよ」と言います。
「……ってことは、この館は家族で住んでるってことか?」と言われるので、「うーん、血のつながりはないよ?でも、私は皆は家族だと思ってる」と答えると、「……あたしも?」と言われ、「ま、まだ会って3日くらいしか経ってないんだけど……でもまあ、家族だよ」と安請け合いします。

「そっか、家族か……」と、茨はなんだか嬉しそうです。
「家族ねえ」と反芻して、ふふっと笑っています。……安請け合いしたことに、ちょっと罪悪感。

 茨は、村人からは距離を置かれて、一人で山の上に暮らしていたので、「家族」とか「仲間」というものを求めていたのかもしれません。だから私の式神になんてなったのかな?
にほんブログ村 哲学・思想ブログ スピリチュアル・精神世界へ
にほんブログ村

新しい式神・鬼さん

 スピリット界で、大きな動きがありました。

 私があっちに降りると、サーシャが来て、「あんたに客よ」と言われました。
 誰だろう?と、色々と思い当たるふしがあるので、「応接間に呼んで」と言って応接間への扉を開けましたが、後ろからメローネに「なんだか嫌な予感がするんだが」とぼそりと言われます。「え?襲撃とか?」と振り向いて言うと、「違うと思うが……どっちかというと、厄介という意味だな」と言いつつ、メローネは「俺はここにいる。何かあったら呼べ」と言い放ってベッドに寄りかかります。

「厄介って……」と思いつつ真理矢と応接間へのドアを開けると……。

「よ。邪魔してるよ」と、黒髪の美しい、日本美人な、しかしその頭からは二本の角が生えた鬼と、それとアラハバキ様が人間の美形男子……童顔のサッカーの内田選手の姿でテーブルを囲んでいました。
「鬼さんにアラハバキ様?一体これは何の集まり?」と言うと、「いやね。ちょっとあんたに提案があるんだ」と鬼が言います。

「提案……あ、却下します」と言うと、「まだ何も言ってないだろ。何、あんたにとっては良いことだよ」とニヤニヤと言われます。
 そして、「あんた、あたしを式神にするつもりはないか?」と、とんでもないことを言い出しました。

「式神って……」と言って、真理矢を振り返ると、真理矢はぶんぶんと首を振って「ノー」の意志を見せます。
「いや、そんなこと急に言われても」となんとか穏便に済ませようとすると、アラハバキ様が「……こいつがこういうときは、100年単位でないとコトが動かん。つまり、向こう100年はお前の式になり続けると言うことだが……さて、どうするか」と、ヒゲの生えなそうな顎をつるりと撫でます。

「どうするか、じゃなくてですね。ここは穏便に帰って貰うことはできませんかね?」とアラハバキ様に言うと、「なんだなんだ、どうにも冷たいね。あたしが式神になれば、あんたは100人力だよ。何せ鬼の力なんだからね。どうせあんたのことだから、あたしを脳筋のアホだと思ってるかもしれないが、これでなかなか頭も働くんだよ?」とサーシャが出したと思われる紅茶をひとすすりしてニヤリと笑います。

「鬼さん、式神になったら、私より力が落ちちゃいますし……」と言うと、「問題ない。今の力のまま、受け継がせれば良いんだ。『強くてニューゲーム』ってやつかい?ちょっとばかりズルをさせてもらうよ」と言うので、「アラハバキ様、それってホントですか?」と言うと「……残念ながら本当だ。私もずいぶん説得したんだが、こいつはほら、こういうやつだろう?まったく、鬼というのは……」とほとほと困り果てたように言うので、私も何も言えなくなります。

「……ん?この沈黙は、オッケーってことでいいのか?オッケーか?」と鬼が言うので、「あなたは、なんでそうプラス思考なんですか!今の会話聞いててオッケーなわけないでしょ!」と叫びます。
「あーあーそうか。人間は冷たいなあ。一人ぼっちの鬼を捨てておくのか。冷たい冷たい」というので、「あなたには村人がいるでしょ」と返すと、「村人とはなあ……最初は良かったんだ。あいつらもあたしを頼ってくれて。でも、それが子になり、孫になり、をすると、どうしても序列ができちまうんだね。あたしは、あんたみたいに馬鹿正直な馬鹿が好きなんだ」と、ストレートの背中まである髪をばさり、といじりながら言いました。

「馬鹿って……それに私、別に正直なわけでもなんでもないですよ?ただ、嘘をつくだけの能力がないだけで……」と返すと、「言ったろ?馬鹿は私は大好きだ。それに、お前はなよっちい。あたしの力が欲しくはないか?ん?」と片眉を上げます。

「……なんだか、式神にするまで帰らないつもりでしょうけどね?」と言うと、「そのつもりだよ。式神にするまで何時間でもあんたの邪魔をし続けてやるさ」「おい、私の仕事は……」と、アラハバキ様がため息混じりにツッコミます。
 私は、後ろの真理矢を振り返りました。すると、真理矢は不承不承といった雰囲気でこくりと首を縦に振ります。

「……わかりました。わかりましたよ。あなたを式神にします」と、私が宣言すると、鬼は「さっすがかみな!あたしの見込んだ人間だ!」と嬉しそうに叫んで、椅子をがたんと倒すと、向かいの椅子に座る私の膝の上に乗って、ぎゅーっと抱きしめてきます。こ、この鬼、外見はスレンダーなのに、おっぱいは大きい……だと?うらやましいんだが。

「ああ、ああ、わかった。それなら、早速儀式に入ろう。かみな、儀式の流れは一通りわかっているだろうが、お前がするのはこの紙にこの鬼の名を付けてやることだけだ。さっさと終わらせるぞ」と言われ、私は髪とペンを渡され、名付けに悩みます。
 すると、鬼がひょいと私の手元をのぞき込んで、「ああ、あたしの名前か。あたしはこうだな」と言って、指で空間に文字を書いてみせます。……茨?

「あなた、ひょっとして、あの茨さんじゃないですよね?嫌ですよ、私、そんなメジャーな鬼を式神にするなんて。毎日緊張しっぱなしじゃないですか」と後ずさると、「どの茨かはわからんが、あたしは茨だよ。昔からね。それに、メジャーってほどでもないと思うが」と、私の膝から降りたままで、頭をこりこりと掻いてみせます。

「それに、鬼を式神にするやり方は、昔からある。そう珍しいことでもないさ。さ、書いた書いた」と言われ、私はペンで「茨」と書いてアラハバキ様に渡します。
「うむ……まあ、苦労もあろうが、たくましく生きろよ」とアラハバキ様に言われ、「じゃあ助けてくださいよ!あの鬼、なんとか説得してくださいよ!あなた、まつろわぬ民の総まとめ役でしょ!?」と言います。
「いや……鬼は無理だ。奴らは、そもそもこうと決めたら話を聞かんからな……私もこれでもなんとかやっているんだ。わかれ」と言われ、私は「うぐぐ……」と詰まります。

 儀式自体は、以前と変わりません。剣で紙を突き刺して、なにかの呪文を唱えて、何かが私の中に入り込んで……。
 で、私はついに鬼の主となってしまいました。

「では、私はこれで。仲良くやれよ」と、アラハバキ様は去って行きました。
「……茨さん」「茨でいいよ。敬語もなしだ。今日からあんたがあたしの主なんだろ?」と言われ、「じゃあ、茨。ちょっとパンとコーヒー牛乳買ってこいや」と、私は嫌がらせのつもりでびしっと親指を立てます。
 うまく怒らせて契約を破棄させるのが狙いでしたが、「あ、パンとコーヒー牛乳だね。パンと言っても色々あるからねえ。何のパンがいい?」と普通に返され、「え……えっと。じゃあ、ミルクフランス……」というと、「オッケー!じゃあ、ひとっ走り行ってくるよ!」と言って嵐のように去って行きました。

「……姉様、僕は姉様が望むようにするつもりですが……今回は……」と真理矢が言うので、「いや、いいよ。真理矢のせいじゃないない。……それに、一応嫌だって言ってるけど、私、本当はそんなに嫌じゃないし」と打ち明けます。
「嫌……ではないのですか?」と聞かれるので、「うーん、なんか、茨って、底抜けに明るいじゃん?だから、鬱気質の私は、なんとなくそれで励まされてる気がするし。赤毛と同じで、こっちが本音を言っても平気で返してくるしね。気の置けない友達が一人できたって感じで私は好きかな……」「姉様……僕は……」と、真理矢がそっと私の顎に手を掛けた時、「ただいま!」と茨が帰ってきました。

「はえーよ!もっと余韻に浸らせろよ!」「え?何?お楽しみだった?ぐふふ、お楽しみだった?」「茨、あなたもう帰ってください」
 ……ということで、鬼の式神ができましたよ。
にほんブログ村 哲学・思想ブログ スピリチュアル・精神世界へ
にほんブログ村

同性愛は病気だと!?

 なんか、どこかからか辿ってきた人のブログを読んだら(fc2同士は足跡機能といって、読みに来た人のブログを辿れます)、新興宗教の人のブログでした。
 まあ、それはいいんです。私は新興宗教といったらどうしても胡散臭く感じますが、それは人それぞれの考え方ですから。
 でも、そのブログの文章の中に、「セクシャルマイノリティはこの宗教に入れば治る」とか書いてあって、思わず探偵物語の松田優作みたいにブーッと吹き出してしまいました。バッドシティバッバッドシティ♪って。

 そんなわけないでしょう。どんな勧誘文句ですか?それ。

 私自身も、スピリット界で男性とも女性とも付き合っているのでわかりますが、同性愛含むセクシャルマイノリティなんてものは、そもそも病気じゃないんですよ。

 今は、男の体に女の心の人とか、逆の人とかいますし、それは精神外来で処理されているので、まあ精神病扱いはされているでしょう。
 しかし、「素敵な人だな。もっとこの人を知りたい。もっとこの人に触れたい」と感じる人ができて、人が人を愛して、それが同性だったからといって、それほどおかしなことなんですか?え、私が間違ってる?と思うわけです。
 
 それが、特定の宗教に入ったからといって治る?「あなたにも赤ちゃんを授かることができます」とか?
 笑わせるにもいい加減にしろ、と言いたいのです。
 てか、本気でそんなこと思ってるんですか?いや、だから新興宗教なんでしょうけど……(まあ、キリスト教の総本山であるローマ法王も、「同性愛・堕胎は罪である」と言いのけて、多分その当事者の女性につかみかかられた法王もいますけどね)。

 ……私が、こういった相手を非難する文章を書いているのは、同性愛者の当事者である私の式神の真理矢がショックを受けていたからです。
「姉様、僕は間違っているのでしょうか?姉様は、お優しいからこそ同情で僕に付き合ってくれているだけなのでしょうか?」と。

 私は言いました。「同性と付き合うなんて、今までノンケ(異性愛者)だった人間がそうそう覚悟できるわけないでしょ。私は、真理矢が好きだから付き合ってるの。それは、男だからとか女だからじゃなくて、真理矢っていうたった一人が好きだから言うんだよ。同性とか異性とか、現実とかスピリット界とかは関係ない。私は真理矢が好き。本当だよ」
 そうして、私は胸に怒りの炎がともったのを感じました。同性愛が病気だから、宗教に入れば治るだと!?どこのスパイウェアの誘い文句だ?

 大体、ホモやビアンと、トランスジェンダーをごっちゃにしてる認識で、そういったデリケートな分野に入ってくるなよ、と。
 ホモやビアンは「同性愛者」。つまり、自分が男や女の体であるのに違和感を感じずに同性を愛する人。
 トランスジェンダーは「性同一性障害」。簡単に言うと、「同性愛者である以前に、自分の体が男や女であることが嫌だ」という人。
 これぐらいの認識の見分けは付いた上でこういったセクシャルマイノリティの人の悩みを利用して、宗教に勧誘するといったことぐらいはしてほしいですね。

 そして、セクシャルマイノリティの人というのは、普通の性癖を持った人たちよりもずっと傷つきやすくて、自殺しやすいんです。
 以前、カルーセル麻紀が言っていました。「ゲイの人たちは、本当にしょっちゅう死んでしまう」と。
 とある、カルーセルさんが昔、ママを勤めていたゲイバーの従業員から電話が来て、「ママ、私ね、睡眠薬を一気に飲んだの。お世話になったわ。ありがとう、ママ」と言うので、「馬鹿なこと言ってんじゃないわよ!早く吐いてちょうだい!」と言ったところ、電話が切れて、そのままその人は亡くなってしまったとか。

 ……確かに、この世は不平等です。
 私が好きなraphaelというバンドの「XXX症」という曲には、「僕らのこの姿は明らかな間違い」とか「産まれたままを認め合い共に生きる道はないのですか?」という歌詞があります。
 まあ、これを作詞した華月というギタリストは、この曲はダウン症の従兄弟のために作った曲らしいですが、それは色んな障害者、そしてマイノリティの人々にも当てはまる歌詞ではないでしょうか。

 そういう華月も、最後は自殺です。
 V系の人たちによると、「かじゅりん(華月)が生きてたら、どんなモンスターバンドになってただろう?」とか。だって、10代で曲を作り、18~9でメジャーデビューしたのですから。本当に、早咲きの天才でした。

 あ、あと、今流行の「女装男子」なんてのは、ただ単に異性の格好をするのが趣味の人のことです。性癖は、完全に男。まあ、ゲイの人もいるそうですが、その場合だと、「可愛い女装男子をデートに誘って、さあ、愛し合おうとしたら、指を入れられて、『あれ?で、でも、こういうプレイなのかな?』と思っていたら挿入されて、『ネコ(女性役)じゃないのかよ!騙された!』と思った」という人もいたり。
 また、女装男子の中にも、普通に彼女や奥さんがいる人もいますね。

 はっきり言って、宗教で性癖や障害を持った人たちを、宗教で縛れる時代はもう過ぎたのです。
 日本でも、昭和の時代まではまだ「あそこの息子さん、まだ結婚してないの?じゃあうちの娘と結婚させましょう」といった親同士の取り決めで結婚を決められている時代だったそうですし、だから、セクシャルマイノリティを持った人は、悶々としながら日々を過ごすしかありませんでした。

 江戸川乱歩の小説で、私が一番好きな小説である「人でなしの恋」というのがあります。
 これは、「人形を愛する男性が無理矢理所帯を持たせられ、妻に人形を壊されて、最後はその人形の上で首を吊る」という内容の小説です。
 乱歩は言っています。「人には恋ができぬ。しかし、人形になら恋ができる」と。
 この男性の悲劇は、そもそもそういう性癖を持っていたにもかかわらず、無理に妻をめとらされたことだと思うのです。無理矢理性癖を封じられた人間は、どうなるのか。そもそも、普通に人を愛し、異性を愛するということは果たして幸福に繋がるのだろうか?と。

 私は、性癖で言うとバイセクシュアルになります。男性も女性も愛せるということですね。
 というのも、「性の壁を越えて、人としてその人が素敵だと思えば付き合える。愛に性別というのをあまり気にしない」という適当な性癖であります。
 ちょっと戦国時代なんかに飛べば、そもそも小姓(少年の将軍の恋人)を持つのが将軍や貴族としてのステータスだったりしましたし、100年も前ならば、お寺にもお稚児さん(これも、少年の僧侶の恋人)という文化がありました。バイであるということは、ちょっと昔なら普通だったんですよ。

 欧米でも、キリスト教だって、お稚児さんはいましたし、聖歌隊の少年に手を出す神父も珍しくはありませんでした。
 ギリシャ神話なんかには普通にゼウスやアポロンなどが男の恋人を持っていますし、そもそもギリシャでは同性愛含むアナルセクロスは「子供を作るだけではない、真の愛の儀式」として受け入れられた文化でもあります。
 同性愛って、そんなに珍しいことじゃないんですよ。それを、宗教の勧誘に使うなんて、勘違いも甚だしい。バチが当たってしまえばいいのです。
にほんブログ村 哲学・思想ブログ スピリチュアル・精神世界へ
にほんブログ村 

前衛は私にお任せ

 最近、メローネの登場回数が少なくなっていますが、一応スピリット界では毎日話はしています。
 昨日は、鬼の話をしていました。あと、角を見せたり。

 すると、メローネはしげしげとその角を見て……「惜しいな」と。「何が?」と聞くと、「いや、惜しい。これだけの強度と柔軟性を兼ねそろえた素材は、良い武器になりそうだ。……これは生え替わったりしないのか?」と、とんでもない質問をされます。
「い、一応婚約者の体の一部を武器の視点で見るのは止めてくれない?」と抗議すると、「何故だ?角は髪や爪と同じだろう。痛覚もないし、もしかしたら生え替わるのなら武器の素材として欲しいところだが」と、ひょうひょうと言ってのけられます。

「そうそう、私、弓はやめて、頭の中に浮かんできたデザインの両手剣を作ったんだよ」と言って、それを出してきて見せます。
 メローネは、「ジャマダハルに似ているが……いや、なんだこの形は?」と武器マニアとして興味を引かれているようです。

 左手に、手首から肘にかけて沿うように、刃を外側に向けた剣と、右手にクリスのようなたわんだ剣を装備します。
 左手の剣には、多分相手の剣を折るようなギザギザがついています。

 しかし……「おい。これは、相当接近しないと意味を成さない武器だろ?お前が前衛を務めるつもりか?」と言われます。
「そのつもりだけど?鬼さんの加護もあるし、リーボールだってちゃんと作れるし(まだどどめ色だけど)。そもそも、私はごちゃごちゃ考える後衛やヒーラー役は合ってないし、ちょっと馬鹿なくらいの前衛でいいんじゃないの?」と返しますが……。

「俺は反対だ。前衛をするにはそもそも優れた身体能力・体の頑丈さが求められる。やめておいた方が良い」と反論されました。
 私はむきになって、「いいじゃん。確かに私は、リアルでは運動音痴の文化系だよ?でも、スピリット界ではそういうのは反映されないんでしょ?スピードだって出るし、前衛としてちゃんとやっていけると思うんだけど?」と言います。

「そういう問題じゃなく……」と、メローネが歯切れが悪く言うので、「何?ちゃんと言ってくれないとわかんないんだけど?私を論破できるなら私も考え直すよ」と言ってのけます。
「その……お前に、傷が付くのが嫌だ。それに、女を前に行かせて、自分は安全な場所で後方支援しているだけなどと、何となくな……」と、ごにょごにょ言います。

「要するに、あんたの男としての矜持がなんちゃらってことなんでしょ?そんなの時代遅れじゃないの。だいたい、こっちでは、奥さんが前衛してて、旦那が後衛してることだって少なくはないんでしょ?……欧米の『レディファースト』の習慣だって、元々は戦場で役に立たない女を『先に行かせて罠がないか調べる』って意味でレディファーストってことなんだし。メローネは、私をもっと利用すれば良い。もっと非情になって、それこそ鬼になれば良い」と、私は説明しました。

「だが……」とメローネがまだ何か言いたそうなので、「ああ、もういい。とにかく、私は館に何かあったらこの武器で交戦する。足止めの手段も沢山あるし、何より私には神様方の加護がついてる。そうそうやられたりはしないよ」と自分でも無茶だと思う理論で無理矢理押さえつけます。

「メローネ、あなたはあなたの役割をちゃんとして。真理矢は、槍だから中衛になるのかな?ともかく、私と真理矢、そしてメローネがいれば、何にだって勝てる気がするんだ。今まで色んな武器を扱ってきたけど、この剣が、私を呼んだんだよ。だって頭に浮かんだんだもの」
 そう言うと、メローネは「しかし、銃相手にはどうするつもりだ?銃と剣ではそもそも有効範囲が違いすぎる」と言ってくるので、「ふふ、私が精霊の誘拐騒動のときに銃弾を避けたことを忘れた?私は時間も操ることができるんだよ。灯星石さんじゃないけど、剣で銃弾を切ることだってできる。いくらでも可能性はあるってこと」と返します。

「……」と、メローネが黙ったので、「まあ、私も大人だからね。自己責任で好きにさせてもらうよ。もし、無茶な前衛で死んだとしても、それはメローネのせいじゃない。全部私が勝手にやったこと。だから、メローネがどうこう思うことじゃないんだよ」と指をふりふりと振りながら言います。

「俺は悲しむぞ」と、メローネがぽつりと言います。「お前が傷ついたら、俺は悲しむ。それに、どうして守ってやれなかったんだと自分を責める。それでも、お前はやるつもりか?」と、メローネが言ってきます。
「ぐっ……」と、感情論には弱い私ですが……「やるといったらやるんだよ」と持ち直します。
「メローネ、感情論を持ち出すのは卑怯だよ!そこまでして私を止めたい?」と言うと、「……お前は何を言っても止まらないと思うが。まったく、どうしてこうも頑固な女なんだろうな」とため息をつきます。

「もし傷ついても、ヒーリングには水晶が生えてるし。確かにうちにはヒーラーが足りないけど、水晶でどうにかなるでしょ。……しかし、この剣、なんでこういう形なんだろうね?よくわかんないまま、頭に浮かんだままに作ってみたんだけど」と私は?を浮かべます。
「おそらく、左手の剣で相手の武器を受け止め、その間に右手で切るんだろう。……しかし、武器を持っている相手と相対するのは、素人にはかなりのプレッシャーだぞ?それこそ胃に穴があくほどのストレスを感じることもある」とメローネに脅されますが、「そんなのどうってことないよ。SMAPの中居くんは、リーダーに任命されたときに、台本が真っ黒になるまで書き込みをして、そして仕事の時は毎回胃潰瘍作って吐いたりしながら今の地位にのし上がってるんだから。中居くんにできて、私にできないことはない!」と我ながら無茶を言います。
 
「…………」と、メローネはたっぷりと間を置きます。そして、「わかった。お前の意見を尊重する。だが、いつでも後衛に戻れるようにしておこう。お前は植物と氷とでバインド(足止め)使いだ。元々は後衛向きなんだろうが……仕方ない」と、ため息をつきます。
「ありがとう」と、私はにっこり笑います。しかし、メローネは苦い表情で、「いいか、無理はするなよ。極力その肌に傷をつけるな。せっかく白くて女らしい肌なんだ。髪も切られるな。ショートカットも似合うが、俺はお前の黒髪と白い肌をわりかし気に入ってるんだからな」と言ってきます。

「……メローネ、思いっきり自分の趣味で言ってるんじゃん……」と私はあきれますが、これで、「前衛?良いぞ。傷なんて構うな」と言われたら、それはそれでムカつくと思うので、良いんですけどね。
 にほんブログ村 哲学・思想ブログ スピリチュアル・精神世界へ
にほんブログ村

鬼と縁ができた

 今日は診察の日だったのですが……。
 ……お薬増えました。あっがががが。

 それも、主治医に「仕事は行けてる?」と言われ、「ええと……最近調子悪くて行ってないんですけど」と言ったら、「ああ、それは良くないね。とりあえず仕事には行けるようにしないと……」と、モニターをにらめっこしていたかと思うと、「うん、じゃあ、ロナセンをなくして、ジプレキサを増やそう」と言われました。

 え!?増やさないとダメ?違う種類ならまだ「おっしゃー新しい薬ー」ともなるんですが、普通にジプレキサはもう10mgを貰ってるんですけど。でも、ジプレキサって何グラムまで増やして良いんでしょうね?そこのところ疑問に思ったのですが、聞けず。
 で、後で薬局で会計したら、今まで1700円くらいだったのが2000円になりました。そうだった。ジプレキサって薬価が高いんだったっけ……。

 まあ、お薬話はこんなもんにしておいて。
 スピリット界でも、新しい動きがありました。

 なんか、現実世界の頭が重いんです。で、頭から何かが生えていて、それが重い、みたいな。
 で、スピリット界に行ってみたところ、姿見で確認したら、頭に二本の角が生えていました!横に長く二本、そして角の先がくるりと丸まっています。うががっ!?何この角。

 後ろを振り向いて、真理矢に「真理矢、これ何?」と聞くと、真理矢が「それ、一ヶ月くらい前から生えてましたけど……確かにこっちで実体化したのは今日が初めてです」と言われました。ええ!?

 そして、真理矢は静かに「……まつろわぬ民の中には鬼も含まれています。姉様は、鬼の力も手に入れたのです」と、聞いてないんだけど!?なことを言ってくれます。

「とにかく、この角を生やした主のところに行こう。……多分、ガイドは連れて行けないだろうな。連れて行くのは真理矢だけでいいや。鬼の人、引っ張って!」と念じると、景色がゆがんで、それから山?のようなところに来ました。

 近くには花畑。この冬の寒い時期に、もう菜の花の黄色が見えます。鬼って言うと、地獄にいるとかいうイメージがあったのですが、ちょっと拍子抜けしました。
 きょろきょろと辺りを見回していると、「お、来たのかい」と低めの女性の声がします。
 振り向くと、大きな米俵を片手に担いだ、私と同じく二本のくるっとした角を持った、黒髪で白い肌の長身のモデルのような女性がいました。……女の鬼……?

 私がいぶかしんでいると、鬼は「あたしの住処はあそこだよ。そこで話そう。茶ぐらいは入れるよ」と顎をしゃくります。そっちを見ると、昔の農家のような、立派な瓦屋根の屋敷が山の頂上に建っています。
 私たちは自然と山登りのようなことになりましたが、何故か私は息切れ一つしません。真理矢は、ふわふわと浮きながら私たちの後についてきます。

 道中無言で山を登り終わると、そこには大パノラマが広がっていました。近くには村のような集落が密集したところがあります。そして、後は稲を刈り終えた田んぼや、野菜を作っているらしき畑が見えます。
「どうだい?良いところだろう。ここら辺の開拓は全部あたしと村人がやったんだよ」そう言いつつ、鬼は家の中へと入っていきます。

 私たちが顔を見合わせていると、「何してるんだ!暖気が抜けちゃうだろ、入れ」と言われたので、仕方なく「お邪魔します……」と言いつつ家の中に入りました。
 私たちが最初に見たのは、土間。田舎の人でないとよくわからないでしょうけど、土でできた玄関のようなものです。履き物を脱ぐところは、縁側のように木で作られており、ガラスと障子でできた引き戸の向こうには畳のある部屋へと続いています。

「おお、寒い。悪いけど茶は自分で入れてくれよ。あたしも一旦ココに座るとなかなか無精でね」と言いつつ、鬼はこれだけ現代風の電気コタツに入っています。
「ええと……あなたは鬼でしょう?神様じゃないですよね……?」と聞いたところ、鬼はぴくりと眉を跳ね上げます。
「なんだって?あたしが神じゃない?」と少し気分を害したようなので、「ええと、だって鬼ですし……」とびくびくしながら言ってみます。
「ふん。あんたたちのいる世界でもそうかい。はっきり言うよ。あたしらは古代、神として崇められていた……いわゆる土着神の一柱だよ。それを、朝廷が『悪い妖怪だから退治した』と言って、『鬼は忌むもの』という風潮を作っちまったんだ。しかし、人間の中では、鬼は『鬼神のごとき強さ』とか言われるだろう?鬼は、忌むべき物であり、同時に強さの象徴なんだ。今のあんたたちの見解だとね」
 そう、鬼は言って、「寒いね。茶はまだかい?」となにげに催促してきます。逆らうのも何なので、素直に急須を取りますが、真理矢が「姉様、私がやります」と言って代わってくれました。「いや、そこの人間が入れた茶が飲みたいな」というので、「鬼さん、真理矢はお茶を入れるならエキスパートですよ。私が入れるよりずっと美味しいです」と言いますが、鬼は「いや、あんたの入れる茶が飲みたい」と聞かないので、私は真理矢から急須を受け取ります。

 お茶を湯飲みに注いで鬼に渡すと、「おお、サンキュー」と言って鬼はそれを受け取ります。
「鬼さん、私は『あんた』じゃなくて『かみな』という名前が……」と言いかけると、「ふーん。なるほどね」と、鬼は湯飲みの中をのぞき込むようにしながら何かに納得しています。
「あんた、外見はほわほわしてのんびりしているようで、実はものすごくせっかちだろう?そして、頑固者だ。職場でも、『なんであの人、ちゃんとしないの!?』と思いながら一人でイライラしているね。いやいや、責めてるわけじゃない。それだけ周りのことが見えてるってことだよ。あんたが上手く他人を頼るようになったら、まさに『鬼に金棒』ってね。てへへ」と、お茶なのにこの鬼、酔っ払ってるの?というノリで言われます。

「でもね、他人ってのは、そうそう思うとおりに動かないもんだ。しかも、職場ではほとんどがあんたより年上の男ばっかだ。普通に注意しても聞き流されるだろう。腹が立つ人間もいるかもしれない。いや、あんたはホントは鬼になれる素質を持っているのに、もったいないね」と、鬼はさらに言いつのります。私が鬼?いや、確かに母は職場で「怖い右川さん」って言われてますけど。

「……鬼さん、どうして私に力を……?」と聞くと、「ふふん。そりゃあ、あんたの体がなよっちいからに決まってるだろ?あんたは、心は確かに傷つきやすいが、魂は金剛(ダイヤ)だ。それなら、体を強化してやるのが一番良い。何、鬼の力だからね、強さは保証するよ。まだ、現実の体とはなじまないが、角が生えたのなら精神体はなじんだということだろ。あたしの力を見ただろ?女の体で米俵を担いで息を切らさずに山を登れる。そりゃあ鬼だろうて」とカカカと笑います。

「……うん。しかし、惜しいな。あんたが鬼になるにはあんたは優しすぎる。大切に育てられたんだろうな。惜しいな」と、鬼はコタツの天板の上に上半身を投げ出し……「ぐう」と、一気に眠ってしまいました。あんたはのび太か!3秒で寝おって!

「姉様、帰りましょう」と真理矢が声をかけますが、私は「うん……」と生返事をして、きょろきょろと辺りを見渡します。
 部屋の中はごちゃごちゃしており……つまり、現実の私と同じく、典型的な「片付けられない女」の部屋です。
 その中で、私は服の塚の一番上にかかっていたドテラを鬼の肩にかけてあげました。

 それで、立ち上がろうとしたところ、「ほうら優しい」と、鬼がこっちを見てにやりと笑います。
 狸寝入りか。「……そういうことをするのならもう来ませんよ?」と少しむくれて言うと、鬼はハハハ、と笑って「でも、優しいお前はまた来るだろうよ。……一人はつまらん……」と、最後はつぶやくように言います。

 ……鬼は、寂しかったのでしょうかね。なんか、「ないたあかおに」を思い出しました。
にほんブログ村 哲学・思想ブログ スピリチュアル・精神世界へ
にほんブログ村