カテゴリ:スピリット界への介入 (1/15) | 魔法石の庭3rd

スピリット界への介入の記事 (1/15)

植物の妖精は出身地によって違う

 シルバーメタル、分枝中……。
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 茎がくるっとなっているのです。これ、最初見たときはびっくりしました。奇形か!?切り落とさないとダメ?と思いつつ、観察していたら、どうやらイモ科ってこうやって成長するらしく。茎の鞘?みたいな部分から枝が出るんですねえ。一安心です。

 何せ、農業でやってたサトイモは、そこまで成長させませんし(一期で収穫するため)、イモ科といってもサツマイモとかジャガイモとかは全然違う品種ですしねえ。
 同じように、モンステラなんかもクワズイモとして100円ショップなんかでも売られていたりします。本物のモンステラかクワズイモの何かはわかりませんが、園芸に自信があったり、デスクの上にちょっと緑がほしいという人には、100均植物も面白いですよ。
 
 ただ、シルバーメタルの若い枝が、途中から黒くなっているのが気になります。観察してみると、分枝のなりそこないとか、枝は出たけど葉っぱは出ないとかいう枝のようです。
 これも、自然の摂理でしょうかねえ。
 黒っぽいところはもぐと力を入れなくとも外れるので、これで様子を見たいと思います。

 ところで、最近妖精の話してないですね。

 現在は、熱帯植物が多くなっているせいか、妖精が活性化しています。
 なんというか、妖精って、背の高い植物が好きなんですね。「寄らば大樹の影」ということを知っているのでしょうか。
 槙の木のコロボックルみたいなおっちゃんも、私の部屋を見て「ほほ~う」という顔をしていました。

 熱帯の妖精は、いろんな種類がいます。
 まず、日本人が「妖精」と聞いて思い浮かぶような小さいティンカーベルみたいな美少女。これが、蛍が飛んでいるみたいにふわふわしています。よーく見ると、光の中にぼんやり少女の姿が透けて見えます。

 対して、盆栽などの樹木の妖精は、頭に緑とか白い帽子や布を巻いた小さいオッサンみたいな姿をしています。
 妖精って、日本と熱帯で違うんだなあと思わされますよ。

 ただ、この2種、あんまり仲は良くなくて、おっちゃん妖精は「少女妖精はチャラチャラしてる」と思っていて、少女妖精はおっちゃんのことなど知らずにふわふわ暮らしているようです。なんか、思春期のお父さんと娘みたいな?

 で、その種族の微妙な関係を「絶対壊すマン」となっているのがキジムナーです。キジムナーは、自分の領地に敏感で、少女妖精が飛んでくると、ばちっと電撃で驚かせて逃がします。
 おっちゃん妖精も、「嫌いではないけど好きでもない」と言った感じ。キジムナーが勝手に一人でいろんなところに喧嘩売ってる感じですね。

 キジムナーってのんびり屋じゃないの?と思われるかもしれませんが、キジムナーの本来の性格って、要するにアスペルガーとかに近いんですよ。この時間はこれをする、次はこれをする、というルーティンワークができあがっていて、それを邪魔すると怒るという。沖縄の人は、人間関係で怒ると、「今、自分はキジムナーになってはいないか」と反省するのだそうです。

 妖精の世界もいろいろありそうですね。ただまあ、妖精たちにも「かみなの住む場所にはあまり近寄っていたずらをしないように」という掟が出来上がっているようで、あまり接触してきてくれません。
 ちょっとさびしくもありますけどね。
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レッツ・バカンス

「ゴールデンウィークも引きこもりなかみなに、今日は良いところを教えてあげるわ」と、セルフィがなにか企んでいる笑みをこぼします。
「良いところ?旅行にでも行くの?」と聞くと、「まあ、館を開けるわけにもいかないでしょうから、遊んでくるだけよ。サーシャも連れてきなさい。そこの式神2人も来て良いわ」というので、私たちは顔を見合わせて、「エレ君は?」と聞くと、「あの子はダメよ。色々と刺激が強すぎるわ」と言われます。珍しく一緒にいた茨に、「今日はエレ君は?」と聞くと、「今日は休みだよ。あんまり根を詰めて勉強しても参るだろ?」と言われました。

「刺激の強いところ……?夜のお店?」とか思っていると(この時点でピンク脳ですよね)、「かみな、お茶が……きゃっ」と、サーシャがセルフィに手を引かれてびっくりしているようです。
「さ、集まったわ。行きましょう」と言って、セルフィ先導のもと、どこかにテレポートします。

 目を開けると……そこは、海でした。
 しかも、マリンブルーで、足下がジャラジャラすると思ったら、砂が全て、砕かれたサンゴです。
「セルフィ、ここって日本じゃないでしょ?」と聞くと、「そうよ。でも、良いところでしょ?一年中泳げるわ」と言って、セルフィが服を脱ぎ出します。
「え、私たち、水着持ってきてないよ?」と言うと、「そんなの必要ないわ。ここはプライベートビーチだもの。さ、あなたたちも脱いだ脱いだ」と、私のローブをすっぽんと脱がせて、下のフリルのついたシャツもすぽーんと脱がせてきます。
「じ、自分で脱げるから」と言って、私は辺りを見回しました。確かに、人の気配がまったくありません。

 すると、茨が既に全裸になっています。は、早い……!飲み込みが早すぎる!
 真理矢は、自分の体に自信がないのか、もじもじしていましたが、セルフィと茨とに囲まれて、「ほら、脱いで!」「や、やめてください!」と脱がされていました。

 なるほど、裸になるから、エレ君を連れてこなかったのね……と。サーシャは、戸惑っていましたが、「いつまでも脱がないとセルフィと茨の餌食になる」というのを悟ったのか、自分でワンピースの裾を持ち上げて、一気に脱いでいます。

 というか、セルフィも茨も、自分たちがボインだから平気で脱げるんだよ!と意味なく憤ったり。私も、ないわけではないですけど、やはり2人には負けますしね。

「そういえば、流水だけど、サーシャは大丈夫?」と聞くと、サーシャはふん、と鼻を鳴らして「もう平気よ。私は吸血鬼の亡霊だもの。苦手なものはほとんどないわ」と言い放ちます。

「さあ、泳ぐわよ~!」とすっかりテンションの上がったセルフィに連れられて、私は水に体を浸します。太陽は日本のようにじめじめとした暑さではなく、からっと爽やかな風を持ってきます。
 現実では、まだまだ海開きは先ですが、私たちは一足早い海開きです。

 私が平泳ぎでのろのろ泳いでいると、茨の泳ぎ方が変だと気がつきました。
 バサロ泳法というか……沈むんです。潜水みたいな?
 で、聞いて見たら、「昔の日本人は皆こうだったんだ。海女なんてのもいるだろ?」と言われました。なるほどね。

 しかし、乾いた異国の地での水泳は、私を想像以上に満たしてくれました。もう、ずっと泳いでいたい。昔から、泳ぐのは好きなのです。クロールやバタフライはうまく息継ぎができないので苦手なのですが、平泳ぎとか背泳ぎだったらずっと顔を出していれば好きなときに息継ぎができるので好きです。

 しばらく泳ぎに夢中になっていて気づくと、いつの間にか砂浜にはパラソルとチェアが用意されています。
 そして、執事姿の男性がやってくると、「セルフィ様、ここにお飲み物をご用意しました」「あら、ありがとう」というやりとりをしていました。
 ……セルフィ、ホントにあんた、何者なの?実は私より徳持ちだったり?

 サーシャは亡霊だから疲れやすいのか、チェアに腰掛けて、飲み物を一口含むと、タオルで目隠しして一休みしています。
 そういえば、亡霊って、自我が時々保てなくなるって聞いたけど……大丈夫なの?と思いますけど、今のところ、ちょっとぼーっとしている時はあるものの、そんなに気になる時間ずっとぼーっとしているわけでもないので平気でしょう。

 真理矢はというと……見事にセルフィにからかわれています。
「胸は揉んで貰うと大きくなるのよ~」と、背後から胸をわしづかみにされ、「ちょっ……やめ、やめてください!」とまるで漫画のようなことをしでかしています。
 茨はというと、潜ってきて、「見てごらんこれ!立派なアワビだよ!」と食べ物を採集するのに夢中のようです。

 そうして、結構な時間遊んでいて、夕方、館に帰ってきました。
 サーシャが疲れて眠ってしまっているので、茨がおんぶしています。そして、真理矢が茨の戦利品……アワビやウニなどの海鮮を館の皆のお土産にして持っています。

 テレポートで館に戻って、私はセルフィに「あ、あの。今日は楽しかった。ありがとうね」と言うと、セルフィはにっこり笑って「そうでもないわ。たまには現実のあなたも息抜きしなさいな。あなた、引きこもってて暇な時も、ずっと頭は動いてるでしょ?面倒な日常を忘れて、バカンスも良いものよ」と言いました。

「今日は海鮮料理ですかね」と、真理矢が戦利品を見ながら言うので、私は思わずお腹が鳴ってしまいました。
「……ごめん」と赤くなりつつ言うと、真理矢はくすっと笑って「仕方ないです。今日は姉様の分も残しておきますからね」と言ってくれました。
 
 こんな感じで、スピリット界体験も、徐々に書いていきたいと思います。最近、多肉のことばかりでしたからね。
 スピリット界にも降りてますよーということで。
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エレ君が襲われた!?

 スピリット界に降りると、茨の姿がなく、「またエレくんのところかな?」と予測しました。
 真理矢は、いつも通り私の後ろに控えています。

 で、知覚がいまいちだったので、何か飲んだりつまんだりしようと、キッチンへ。
 すると、黒髪の小学校低高学年くらいの男の子が顔を手で覆っています。すん、すんと鼻をすする音がするので、多分泣いています。

「エレ君?ち、ちょっと待ってね。知覚上げるから」と断ってから、冷蔵庫にあった麦茶(多分姫様手作り)を一杯飲んで、知覚を上げます。

「……で、どうしたの?茨がそんなに怖く怒った?でも、茨もいないな……」と言うと、エレ君は可愛い顔を泣きはらして、「実は……」と話し始めました。

 なんでも、エレ君には昔の仲間……というか、ストリートボーイの中にも序列があり、ケンカの強いやつ、頭のいいやつは上位で、その子たちのことは絶対に言うことを聞かなくてはなりませんでした。
 しかし、エレ君が館に来たことで、その序列が崩壊しようとしています。
 慌てた今の序列上位の子たちが、「社会勉強」とお使いに出されたエレ君を待ち伏せして、殴ったり蹴ったりした挙げ句、お使い用の金を巻き上げたそうです。
 エレ君が、あの札束を持っていなくて正解でした。というか、今まで気づかれなかったのが幸いです。

「お館にいるんだから、小遣いくらいいつでももらえるだろ?金持ちなんだからよ!」と吐き捨てられ、エレ君は怖がって町に近づけなくなってしまったと。物理的にではなく、精神的に、です。町を見ると、「また待ち伏せされているかもしれない」という恐怖で足を進めることができないとか。

「なるほど……で、茨は?」と聞くと、エレ君の様子がおかしいのに気づいた茨が問いただし、話を聞き終わるや否や、飛び出していったそうです。

 エレ君にはわからないかもしれませんが、私にはわかります。茨は、その悪ガキどもを懲らしめに行ったのです。
「どうせ、『あんの悪ガキども~!!』ってえらい勢いで出てったんでしょ?」と茨の真似をしてみせると、エレ君はきょとんとした後、「……ふふっ。そうです」とようやく笑ってくれました。

「エレ君は華奢だし、悪ガキには力では勝てないもんね……エレ君にお金を持たせるのは、『鴨が葱しょって歩いてる』のと同じか。でも、エレ君はうちに来たばかりだから、まだ徳も集まってないしなあ。今度から、誰かに付いてて貰って、買い物ならできるかな?」と聞いて見ると「……でも、僕にはできるか……」と視線を逸らします。

「じゃあ、こうしよう。最初のうちは、町の入り口まで行けたら合格。しばらく経ったら、町の入り口のお店屋さんを覗いてみる。そうやって、段々町に慣れていけば良いんじゃないかな。これは、精神科でも使われてる療法なんだよ」と言うと、エレ君は「精神科?」と首をかしげます。

「……もしかして、スピリット界に精神科はないの?」と真理矢に聞くと、「少なくとも別れてはいませんね。ドクターは、基本的に何でも診ます。患者が幽霊の場合、怪我などは精神的によるものが多いのです。だから、広義ではこっちに精神科はありません」とか。
「なるほど……風邪引いた時も、心の風邪も同じってことか。でも、それじゃドクター大変だね?」と聞くと、「うちの町がそういうだけで、ちゃんと分かれている……たとえば、町、ではなく市、になると大きな病院内で扱う病気によることもありますね」とか。

「まあ、今のエレ君は、心に傷を負ってしまったってことだよ。特定の場所でショックな何かがあると、そこが怖くて行けなくなる。私も教室恐怖症だしねえ……。まあ、これからは館の住人に付いててもらうから、少しずつ慣らして行くと良いよ」
 そう言うと、エレ君は「……はい」とためらいながらも返事をくれました。うん、男の子だもんね。意地があるよね。

 すると、サッシになっている窓からガンガン、と窓を叩く音がします。
 見ると、茨がその手を血で染めながら、ニコニコしています。一見、長い黒髪の美女が「開けてよ~」と来ているようです。……これなんてホラー?
 茨の後ろには、何人かの小中学生くらいの男の子たちが並んで正座しています。どの顔も、ボコボコです。

 サッシを開けながら、私は「茨~。何子供相手に本気になってんのよ」というと、茨は悪びれもなく「本気じゃないさ。ちょっとどついただけ」と言いつつ、キッチンに上がってきます。

「さて、お前たち、言うことがあるだろう?」と茨に言われ、子供たちは一斉に「館のご主人、すみませんでした」と頭を下げます。
「……謝る相手が違うでしょうに」と私が言うと、慌てて子供たちは「エレ、ごめんなさい。もうしません」と土下座します。

「ま、この館の者に手を出したらどうなるか、わかっただろ?この館は家族……そうだな、マフィアで言うところのファミリーだ。下っ端でもファミリーはファミリーなんだよ。今後も手出ししたら次は容赦しないよ。わかったらさっさと散れ」と茨がしっしと手を振ってみせると、子供たちは我先にと逃げ出しました。

「さて、そういうことだ。だが、用心に越したことはないからね。エレ、あんたは買い物に行くときは誰かと一緒に行くことだね」というので、私は茨にも訳を話して、まずは町の入り口から始めよう、と提案しました。
「……そうか。そうかもしれないね。おし、あたしが付いていってやるよ。乗りかかった船だ。あんたが一人前になるまであたしが面倒を見てやる」と茨が言うので、「ずるーい。私もエレ君とデートしたいのに」と私が口を挟みます。

 茨も、ちゃんと式神の仕事してるんだかわかりませんが、まあ、大丈夫でしょう。災い転じて福と成す、といいですね。
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超科学と文化の融合

 ずーっと多肉の話してて、「あれ?ここって園芸ブログだったっけ?」と読者様を混乱に陥れそうなので、スピリット界の話をします。

 茨は、相変わらずエレ君につきっきり。でも、おねショタとかそういうわけではなく、元々茨の世話焼きな部分と、エレ君の守ってあげたいような危うい部分が一致しているだけのようですけどね。
 で、スピリット界に降りると真理矢が、さりげなく手をつないできて、「まるで、初期の頃に戻ったようですね」と微笑んできます。「あー、そうだね。真理矢との付き合いも結構してるね」と言うと、「僕は、ずっと姉様のことが好きだったんですよ」と機嫌が良さそうです。

 真理矢も、別に元からビアンというわけではなく、ただ好きになったのが私だった、という話だそうです。
 確か、同性愛の人って、同性しか好きになれない人はゲイやビアンですが、好きになった人が同性だったというのは同性愛には含まれないそうですよ。

 まあ、だから百合って表記してますけどね。
 で、館内をぶらぶら歩いて、久しぶりに女教皇の所に行かないとうっかり死んでるかもしれないと思って、女教皇の部屋をノックしました。
「空いてるわよ」と言われて中に入ると、何故か東側一面が薔薇の花。「え!?なにこれ?」と思っていると、女教皇は「昨日届いたのよ。園芸を始めようと思って」といつもの冷静な彼女です。

「園芸って、でもいきなり薔薇をこんなに育てるつもり?」と言うと、「あら。文句があるのかしら?」と返され、私は「ぐぬぬ、現実の私が多肉沼に入ってるから何も言い返せない……」と言葉に詰まります。

 そこに、サーシャがお茶を運んできて、部屋の中を一目見るなり「わあ!」と顔を輝かせます。
「何これ?女教皇、これ育てるの?」とサーシャが嬉しそうに言うと、女教皇も顔を和らげて「ええ」と返事をします。「すごいすごい!薔薇の花畑みたい!」とサーシャが嬉しそうなので、「サーシャ、薔薇好きなんだ?」と言うと、「ええ。大好きよ」と咲いている薔薇の一輪に手を掛けて、顔を近づけて香りをかいでいます。
「気をつけて。とげがあるから、手を切ってしまうわ」と女教皇が言うと、「そんなへまはしないわ」とサーシャが笑います。

「どうせなら、うちの敷地内は勝手に使ってくれていいから、玄関辺りで管理すれば良いのに」というと、「本当に?それも良いわね」と女教皇が珍しく顔を輝かせます。
 引きこもりの女教皇が、こんなに表情を変えるのは久しぶりだなあ、と私は植物のパワーを感じていました。

「それにしても、こっちの世界でも通販って機能してるんだね。インターネットも繋がってるみたいだし、この分じゃ携帯電話も使えるんじゃないの?」と言うと、「その通りよ。あなたの元の世界にあるものは、こっちでも使われているのよ。何せ、ネットワークの構造自体は、インターネットが開発される前からプログラマーたちの頭の中で実現は可能だったの。まあ、それもLSDなんかの薬で神秘体験を経験してのことだったんだけど……当時、macやwindows以外のプログラマーは皆薬中だったっていうしね」と女教皇は説明してくれます。

「ははあ、想像で実現できるものは、現実で実現する前からこのスピリット界にあると……」と言うと、女教皇はうなずいて「そうよ。だから、あなたたちが使っているものがこっちで発達しているわけじゃなくて、あなたたちが使う前からこっちでは既にその構想はあったということ。今も、超科学の世界ではあらゆる技術が可能よ。たとえば、人間の頬の粘膜をちょっと採取しただけで、そこから人工臓器を作ったりね。私たちの世界は、アナログではないの」と説明されます。

「なるほど」と私は言って、紅茶に手を付けました。
「ここはまるで夢の国ですね」と言うと、女教皇は「あら。だからといって科学ばかりでもないわ。うちの町にだって、どこかレトロな感じはするでしょ?彼らは、好んでそのレトロさを保っているのよ。科学と伝統の融合。それこそがスピリット界と言って良いわね」と彼女も金の縁取りがされたティーカップを傾けます。

「ん?ということは、スピリット界の動向を見ていれば、次に流行る技術の予測が可能ということ?」と聞くと、「そうとも言えるわね。たとえば、現実世界での『成功者』は時々『神が降りてきた』とか言って、技術を広めたりするでしょう?それは、彼らが自然とスピリット界とアクセスしているからなのよ。まあ、それがその人が生きている間に成功するかどうかははっきり言って運の要素もあるのだけど」と、女教皇が言います。

「なるほど。画家のゴッホなんかは、死んだ後にその絵が評価されたんですけどね。カフカなんかも、ある日妹がたき火をしていたら『これも燃やしてくれ』と言って原稿用紙を突きだして燃やすように言ったらしいし、カフカはさらに友人に『私が死んだら著作は燃やしてくれ』と預けていたらしいしね。まあ、その友人が『こんな大作を燃やすなんてとんでもない』と、カフカの死後に原稿を持ち込んだことで今のカフカの文豪としての地位があるっていうし。でも、死んだ後に評価されてもあんまり意味ないよねえ」と、私は非常に俗っぽい発言をします。

「カフカも紫式部も、実は墓場で泣いてるって話もあるわ。『オオー、私の書いた萌え小説が勝手に世の中に広まって、オオー』って」と、女教皇も言います。
「そういえば、外国に行った日本人が、『紫式部さんは新作書いてないの?』って言われたっていう話もあるね。それほど、今でも十分通用する話なんだろうけど。また、外国人は『日本人はシェイクスピアが口語で読めていいな』と言ってるって話もあるねえ。あっちでは、難しい文体なんだって」と私は言います。

「まあ、日本人でもそうなんじゃないかしら。でも、最近では『漫画で読む名作』なんてのもあるし、日本人は常に古いものを新しく仕立て直す技術があったのよ。京都駅前なんて、もうビル街だし、皇居の周りだってビル街よ。なのに、京都の寺社や皇居に行く人は、『急に周りが静かになって、こういう所が聖地たるところなんだろうな』って感想を持つらしいわ。古い文化と新しい文明の融合。それが日本人の持つ魂なのかもしれないわね」
 女教皇はそう言って、一口で紅茶を飲み干すと、席を立ち、「薔薇を1~2鉢残して玄関に移動させるわ。サーシャ、手伝ってちょうだい」と言って薔薇の大移動を始めました。

 ということで、今の嵐が丘には、玄関に薔薇があります。
 お立ち寄りの際には、とげに注意して香りをお楽しみくださいね。
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子供を救うなんて簡単なことではないけど

 さあて。
 例の、侵入者の子なんですが、スピリット界に降りると、食堂で茨と向き合って勉強していました。
 
「ああ、かみな。こいつ、ようやくひらがなが書けるようになったよ」と茨が言うので、私がぼーっとしている間にもちょくちょく茨だけ降りて勉強を見ていたらしいです。

「そういえば、あなたの名前聞いてなかったね?何て言うの?」と聞くと、小さな声で「エレ」と。
「……女みたいな名前ですよね。僕、あまり気に入ってないです」と言うので、「いや。良い名前じゃないですか。確かに微妙にキラキラネームっぽいけど」と言うと、「……でも、僕は好きじゃないです」と。あらら。

「……『名前は、両親が子供に最初にくれるプレゼント』だと聞きました。でも、僕は、その両親から、疎まれたんです。……ようやく、今、わかりました。僕は母親にはとっくに捨てられていたんですね」と、そう言われ、私はとっさに声が出ませんでした。札束だけを押しつけて、どこかへ消えてしまったエレ君の母。お金の使い方すら教えずに。

「んん、まあ、でも、こうしてうちの館のメンバーになったんだし、良いじゃないか。言っておくけど、うちの館にはそういう奴がごろごろいる。あんたが擬態したサーシャだって、養父に父母を殺されて、養父に虐待された挙げ句殺されて幽霊化しているんだよ。そこの真理矢だって、父親から性的虐待を受けている。うちには、そういう、『訳あり』のやつが多いんだ。かみなだって、現実世界の家族から精神病の理解を得られずに、学歴だけを求められた過去があるし、今は弟との関係に悩んでるね。だから、そういう訳ありの奴らには優しい所なんだよ」と、茨が言います。

「そういえば、サーシャ、あの時タイミング良く寝てたけど?それも、エレ君の力なの?」と聞くと、「ええと……僕は、怖い人から逃げるときなんかに、その能力で相手を眠らせていたんです。サーシャさんも、眠らせました」と少しきまずそうにしながら言われます。
 ふむ……ナイトメアの術の下位版みたいなものか。もっとも、ただ危害を加えずに眠らせるだけなら、上位版と言ってもいいですけど。

 そこに、サーシャが来て、「あ!侵入者!って、なんであんたがなじんでるのよ!」と指を差してきます。
「サーシャ、この子もうちの扶養家族になることになったから。あなたにはちょっと不本意かもしれないけど、我慢してね」というと、「おかげで恥をかかせられたわ……」と、エレ君を睨みます。吸血鬼ってプライド高そうだもんね。

「まあまあ。油断してたんだから仕方ないよ。この子はエレ君っていってね、悪い子ではないから、許してあげて?」と頼むと、「ふんっ、あんたにはお茶はないからね!」と、サーシャはキッチンでガチャガチャとお茶の用意を始めます。
「エレ君のも入れてくれると嬉しいんだけどな……」というと、サーシャはじっと私をみやったと思うと、「……わかったわよ」と、今日はその場でお茶を入れ始めます。

「茨もエレ君も、ちょっと一息入れない?休憩しないと疲れるでしょ?」と言って、私は空いていた食堂の丸テーブルに腰掛けます。
「あ、えっと……」と、エレ君が戸惑ったように皆を見ると、「この館ではね、かみなが来たら午後のお茶って決まってるんだ。まあ、降りてきた時間にもよるけどね」と茨が説明します。……てか、そんなことになってたの?道理で、私が降りるとサーシャがすぐにお茶持ってくると思ってた。

 やがて、サーシャがお盆に紅茶を入れて持ってきます。エレ君は、その「お茶会」なるものが初めてのようで、目を丸くして光景を見ています。
 あの後、お風呂に入ったのか、エレ君はぴっかぴかになっているのです。綺麗になると、これがなかなかの美少年。目が大きくて、キラキラしています。

「今日はスコーンもあるの。ジャムは姫様特製の自家製よ」と、サーシャが、自分を出し抜いたエレ君が驚いているのに気をよくしたのか、まるで自分の手柄のように説明をします。
「あ、ラズベリージャムだ。私、これ好きなんだよね」と言って、私はスコーンに手を伸ばし、まずはプレーンで一口食べてから、ジャムに手を付けます。

「美味しい。……スコーンはサーシャが作ったの?」と聞くと、サーシャは胸を張って「ええ。もうかみなに変なものは食べさせられないわ」と威張ってみせます。
 ……ちなみに、スコーンといっても、コイケヤのスコーンとは全然違いますよ?イギリスの焼き菓子の一種で、そう、ケンタッキーのビスケットみたいな格好をしています。味は違いますけどね。

「……この館、本当に徳持ちなんですね」とエレ君が言うので、「そんなに徳を持ってるってこともないけど……人間だから創造できただけでね。……そうだ、エレ君の部屋、2階に作っておいたからね。自由に使って。何か足りないものがあったら言って」と一応説明しておきます。

「足りないものって……僕は、住めるところとご飯が食べられることだけで十分です」とエレ君は言います。
「ふふ、そのうち欲しいものが出てくるよ。その頃には、エレ君も、勉強できてるでしょ」と私は微笑みます。

「……僕、町では、館の主人は非情だとか、色々聞きました。でも、素性も知らない、ただの子供を置いてくれるなんて、僕には夢みたいです。僕は、かみな様は素晴らしい人だと思います」と、エレ君が言います。
「嬉しいこといってくれるじゃないの。それじゃあ、とことんよろこばせてやるからな」「まて、そのネタはエレの教育に悪い」と茨が私を止めます。いや……ギャグにでもしないと照れるので。

「まあ、そんなに良いものでもないよ。私だって、人間だから色々と面倒なこともあるし、イライラもするし、決して聖人ではないよ。でもね。エレ君みたいな子供が、大人の都合で捨てられたりしているのは間違ってると思うし、そういうのは助けてあげたいと思ってる。助けられないにしても、手をさしのべるぐらいはしたい。そんなもんだよ」と、私は言います。
 エレ君は、じっとこっちを見ていたかと思うと、「僕には、かみな様の言ってることがよくわからないけど、一旦は捨てられたんだから、平気だと思います」と言います。
 茨に、「私、そんなに難しいこと言ったかな?」と聞くと、「ああ、エレはね、まだ文章の単語がよくわかってないんだ。満足な教育も受けられてなかったんだから仕方ないけどな。でも、まだエレは10代前半だ。大丈夫、きっと挽回できるさ」と笑います。

 全てはエレ君次第なんですよね。頑張って、エレ君。
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